1996 Fiscal Year Annual Research Report
固相Baeyer-Villiger反応と天然物合成への応用
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08221201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 政隆 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10006330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 宜之 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006324)
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Keywords | 固相反応 / 固相Baeyer-Villiger反応 / ジテルペンラクトン / (-)-ベルベノン / Marrabiin / ナギラクトン / サントニン / エレマン型セスキテルペン |
Research Abstract |
(+)-ベルベノン、ベルベノールはマツ科植物の精油中に存在するモノテルペンであり、ピネン類から容易に合成される。しかし、天然から得られるα-ピネンは光学純度が一定ではなく、(-)-β-ピネンは90%ee程度、(+)-β-ピネンは天然には殆ど存在しないことより、光学的に純粋なものを得る事は困難であった。これらを天然物合成の有用なキラル源として広く用いる事を目的として、酒石酸誘導体をキラルな結晶場として利用する事により簡便な光学分割法を見い出す事が出来た。(-)-ベルベノンをキラル源として、固相Baeyer-Vllliger反応を鍵反応としたジテルペンラクトン類の全合成を行った。ナギラクトン類に代表されるジテルペンラクトン類はこれまで数多く単離、構造決定されているが、全合成は十指に及ぼない。そこで、(-)-ベルベノンを出発原料とするジテルペンラクトン類の基本骨格の合成を行った。さらに、この基本骨格部分を用いたMarrubiinおよびLLZ-1271αの全合成を行った。この全合成の過程でBaeyer-Villiger反応が固相でも容易に進行する事を見出した。即ち、液相反応では過ギ酸を用いてもまったく進行しなかったケトン誘導体をm-CPBAと固体でかき混ぜ、室温で放置するだけで予期される酸化生成物が好収率で得られた。 Baeyer-Villger反応固相はテトラヒドロサントニン誘導体にも応用することができ、エレマン型セスキテルペン類の鍵中間体を合成することができた。 天然有機化合物が固相反応で合成された例はめずらしい。とくに、極めて温和な条件下で反応が進行する固相Baeyer-Villiger反応は天然有機化合物のみならず、有機化合物合成にも、その有用性が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masataka Watanabe: "An Convenient Synthesis of ss1-4-Alkgl-3-coudo uithaxg-6,6-dimethglbicgclo 〔3,1,1〕 hept-3-2-ones with High Cptied Purty" J. Grganic chemistry. 62巻(印刷中). (1997)
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[Publications] Mosataka Watanabe: "NHR^<13> CSatelite Signals Uxefl for the Fird-Order Analgsis of Canplex Spim Systems" Enanter mer. 2巻(印刷中). (1997)