1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08226224
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 研一 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (80110823)
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Keywords | 自己組織 / ミクロ相分離 / 蛍光顕微鏡 / 単分子観察 / 一次相転移 / 長鎖DNA / モンテカルロ・シミュレーション / コイル-グロビュール転移 |
Research Abstract |
私達は、長鎖DNA分子のコイル-グロビュール転移は著しい不連続性を示し、各々の鎖について「一次相転移」であることを、最近明らかにした。この転移において、分子鎖のアンサンブル(集団)平均は、連続的な変化を示す。このことは、光散乱や粘度測定など、アンサンブルの性質を調べる実験手段では、コイル-グロビュール転移は緩慢転移のように"見える"ことを意味している。 本年度は、ホストポリマー中での長鎖DNA分子のダイナミクスに注目して、さらに研究を進めた結果、次のような成果が得られた。 高分子のかたさ(stiffness)とファンデルワールス力を考慮した簡単なモデルで、ホモポリマーの単分子凝縮モンテカルロ・シミュレーションを行った。そして、計算の結果、トロイドやロッド等の構造体が自発的に生成することを明らかにした。この理論計算の結果は電子顕微鏡によって観察されるDNA分子の凝縮体とよく対応している。エネルギーを比較するとトロイド状態の方が低く、ロッド状態は準安定な状態でトロイド状態は熱力学的安定状態に対応している。このショミュレーションの結果から、DNAに限らず、一般的に硬いポリマーは次のような性質を示しているものと予測される。 i).高分子鎖がstiffなとき、コイル-グロビュール転移は、各々の鎖について、all-or-noneの一次相転移となる。(DNAに限らず、十分に固い鎖であれば、一般的に一次相転移となる。) ii).コイル-グロビュール転移には、有限の幅の共存領域は存在する。このため、高分子鎖のアンサンブルは、緩慢転移を示す。 実験、理論的解析の結果から得られてきた、各々の孤立高分子鎖の高次構造のall-or-none的変化は、溶液中に存在する各の鎖について相の異なる状態、すなわち、一種の相分離であるとみなすことができる。鎖の相転移は一次であるので、ゆらぎの相関が有限の値に留まる。そこで、鎖のサイズよりも相関長が短くなったときには、単一鎖について複数のグロビュールとコイルが出現する分子内相分離現象がおこることが予想される。実際、高分子量(Mw〜220,000)のPVP水溶液中では、単一のT4DNA分子が分子内の相分離を示すことが、蛍光顕微鏡観察により確認された。
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[Publications] 吉川研一他: "Nucleation and Growth in Single DNA Molecules" J.Am.Chem.Soc.Vol.118. 929-930 (1996)
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[Publications] 吉川研一他: "Large Discrete Transition in a Single DNA Molecule Appears Continuous in the Ensemble" Phys.Rev.Lett.Vol.76. 3029-3031 (1996)
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[Publications] 吉川研一他: "Phase Discrete Transition and Phase Segregation in a Single Double-Stranded DNA Molecule" Phys.Rev.Lett.Vol.77. 2133-2136 (1996)
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[Publications] 吉川研一他: "Self Organized Nanostructure Constructed with a Single Polymer Chain" Chem.Phys.Lett.Vol.261. 527-533 (1996)
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[Publications] 吉川研一他: "Intrachain Setregation in Single Giant DNA Molecules Induced by Poly(2-vinylpyrrolidone)" J.Phys.Chem.Vol.100. 19702-19705 (1997)
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[Publications] 吉川研一他: "Structure of Collapsed Persistent Macromolecule : Toroids vs. Spherical Globule" Biopolymers. Vol.41. 51-60 (1997)