1996 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型3d遷移金属酸化物の微視的磁性とスピン状態
Project/Area Number |
08227214
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 正行 千葉大学, 理学部, 助教授 (90176363)
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Keywords | ペロブスカイト / 3d遷移金属酸化物 / スピン転移 / モット転移 / 電子相関 / NMR |
Research Abstract |
ペロブスカイト型3d遷移金属酸化物にキャリヤ-・ドープした時に現れる異常金属相の物理,特に,スピンが特異な磁気的性質に関連した興味ある物理現象として,(1)LaCoO_3のスピン転移,(2)Y_<1-X>Ca_XTiO_3とLa_<1-X>Sr_XTiO_3系のモット転移を取り上げ,核磁気共鳴法(NMR)を用いてそれらの機構および起源の解明を目指した研究を行った。LaCoO_3のスピン状態について従来言われていた低スピン高スピンのモデルでナイトシフトと磁化過程を理論的に計算した結果,このモデルではLaCoO_3のスピン状態を正しく記述できないことを明確に示し,さらに,最近バンド計算から示唆されている低スピン中間スピンのモデルで説明できる可能性を指摘した。また,この中間スピン状態をとる為には,酸素とコバルトの波動関数の強い混成が必要とされており,その混成度を調べる為に,一部の酸素を^<17>Oに置換した試料を用いて,^<17>O核のNMRを行った。その結果,LaCoO_3では,確かにバナジュウム酸化物と銅酸化物の中間程度の波動関数の混成があることを見いだした。一方,モット転移については,金属相での電子相関がどのような物であるかを解明することが最も重要である。この観点から電子相関の効果を調べる為に,Y_<1-X>Ca_XTiO_3とLa_<1-X>Sr_XTiO_3を取り上げ,その金属相のTi核に対して核スピン格子緩和率の温度変化の測定を行った。その結果,これらの系の金属相は,波数q=0が増強されたフェルミ液体モデルで記述できる常磁性金属であることを,スピン系の動的側面から明らかにした。また,母物質のYTiO_3とLaTiO_3の微視的な磁気的性質を調べ,軌道整列の問題との関連を議論した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Itoh: "Spin State and Covalent Effect in LaCoO_3 : An ^<17>O NMR Study" Czech.J.Phys.46巻S4. 2157-2158 (1996)
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[Publications] M.Itoh: "Spin-State Transition and Microscopic Magnetic Properties of LaCoO_3" Physica B. (発表予定). (1997)
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[Publications] M.Itoh: "NMR Study of Microscopic Magnetic Properties of Mott-Hubbard Insulators RTiO_3 (R=Y and La)" Physica B. (発表予定). (1997)