1996 Fiscal Year Annual Research Report
地球システムのモデル化による気候動力学の時空間パターンの解析
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08228201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳田 達雄 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80242262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西浦 康政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
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Keywords | パターン形成 / 雲 / カオス / 時空カオス / 近相流 |
Research Abstract |
従来の非平衡開放系の研究においては、相互作用の均一性が前提となっていたが、それに対して、地球システムでは多様な要因が存在している点が特徴である。当研究課題では気候の動力学を具体的な題材にし、そのモデリングを通して大自由度の動的開放系における多様な不均一な相互作用のもたらす振舞いの理解をこころみた。本年度は、気候の基本単位である天気の変化を考えるために、雲の生成と崩壊を議論できるモデルを構築した。そのモデルでは、大気の運動と水の相変化を最小的にとりいれられている。具体的には、大気の運動は浮力による上昇と水の落下によるひきずりによって支配され、温度の時間発展は大気の断熱膨張と相変化に伴う熱の出入りによって支配され、相変化の動力学は平衡の状態への緩和で与えられる、とする。これらの反応の組合わせを標準的な微分方程式で書くというよりは、むしろ、「過程」を写像としてその本質をとりだした形で表現し、その「過程」の結合という形でモデルが構築されている。このモデルを用いてシミュレーションを行ない、底面温度と水分量の変化により幾つかの雲の形状を持つ相(層雲、積雲、乱積雲、層積雲)が存在する事がわかった。これらの相の定量的な特徴付けを雲量の時間変化、雲の境界の長さと雲面積の比やそのゆらぎ、雲内外での速度場の乱れのさ等によって行なった。また、リヤブノフ数(KSエントロピー)により力学的不安定性を調べ、層積雲・乱積雲において不安定性が大きい事がわかった。これらの結果を物理学会において口頭発表を行った以上の結果は雑誌「統計数理」で発表されており、さらに、最新の結果を雑誌Phisical Review Letterに投稿中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T. Takashi, Y. Nishiura: "A Redritation M-del for Breathing Phase-Order Prescrration in Globaly CO" Procesding of Fukui Synposium '96 on Comples System. 549-561 (1995)
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[Publications] Y. Nishiura, H. Sapuki: "Nonexistance of stalle Turing Patterns with Smcoth limiting interfacial configulations" Prp. of math Hokkaido Univ.352. (1996)
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[Publications] 上田肇一,小林亮: "砂・グラスビーズ系の相分離について" 信学技報. 96-141 (1997)