1996 Fiscal Year Annual Research Report
先カンブリア代固結堆積物からパリノモルフを抽出する方法についての研究
Project/Area Number |
08228216
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松岡 数充 長崎大学, 教養部, 教授 (00047416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 照文 京都大学大学院, 理学研究科, 助教授 (40194245)
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Keywords | 先カンブリア代 / パリノモルフ / アクソタ-ク |
Research Abstract |
京都大に保存されている先カンブリア代,古生代の堆積岩さらに比較資料として現生ストロマトライトや白亜紀のフリントを材料にして,固結試料に含まれているパリノモルフを観察する方法を検討した. 古生代バ-ジェス頁岩から,10%塩酸,52%フッ化水素酸を用いて石灰質及びケイ酸質粒子を除去し,さらにシュルツ液処理,10%アンモニア処理を行って有機質粒子を抽出した.その後,篩処理を行って有機物粒子を濃縮し,バイオプラスチックを用いて封入してプレパラートを作成した.その結果,炭化が進行しているものの,開口を備えたsphaeromorph型や連鎖を形成した状態のアクリタークが多数検出できた.さらに同じ資料の薄片を作成し,検鏡したところ,ここにも球形の黒色炭化物と赤色顆粒物が層理面に平行するように多数観察された.前者はアクリタークであり,後者は自生鉱物のパイライトの可能性が考えられた. 固結が著しく進行した先カンブリア代珪質岩石(Fortescu Group)では顕微鏡観察用薄片を作製した.肉眼で黒色バンドとみられる部分では,構成粒子が小さく,また再結晶化もさほど進行していないようであった.そこにはよく円磨されたシルト粒子が不規則な大きさの黒色粒子(おそらく炭化物か)とともに多数含まれていることが観察された.この様な産状は現生ストロマトライトの間隙を埋めている微粒子にも共通して認められる.なお黒色物が生物起源かは不明である. 以上のことからパリノモルフ抽出には、珪質堆積物(フリントなど)では薬品を用いる方法よりも薄片作成法がより適切で,頁岩や石灰質岩石などなど比較的異質物を多量に含む資料にはパリノモルフ分析法が適していると判断された.
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Research Products
(2 results)