1996 Fiscal Year Annual Research Report
γ-Fe_2O_3中でのリチウムイオンの拡散の外部磁場依存性
Project/Area Number |
08229232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 正樹 京都大学, 化学研究所, 助手 (40273510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 靖訓 京都大学, 化学研究所, 助手 (20243090)
高野 幹夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70068138)
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Keywords | リチウムイオン / 拡散係数 / 電流パルス緩和法 / 欠陥スピネル構造 |
Research Abstract |
γ-Fe_2O_3 (γ-Fe_<8/3>O_4)はスピネル構造を持つが、八面体位置に多量の空孔を含むため、室温でリチウムイオンの拡散がおこる。さらにこの母物質は強磁性体なので、その中でのリチウムイオンの拡散は外部磁場によって影響されると期待される。 本件研究の目的は、外部磁場中で充放電特性を測定することにより、リチウムイオンのダイナミクスの磁場依存性を明らかにすることである。 γ-Fe_2O_3焼結体を作用極、金属リチウムを対極、電解質にpropylene carbonateと1,2 dimethoxyethaneの混合物を用いた三極セルを構成し、パルス緩和法でリチウムイオンの拡散係数を測定した。測定装置は関数発生器、ポテンショスタット/ガルバノスタット、デジタルボルトメーター、制御用コンピューターからなり、磁場は磁場は作用極→対極方向を正として、-9Tから9Tの範囲で可変である。測定はヘリウム気流中300Kで行い、拡散係数は0.5mAのパルス電流を10秒間印加した後の電位の経時変化から算出した。 測定に先立って80μA、60分間の放電を行ったが、この時点で作用極はLi_<0.013>Fe_2O_3になっている。0、±5T、±9Tの磁場中で測定を行ったところ、0.49%/Tの拡散係数の変化が観測された。磁場と拡散の方向が反平行の時に拡散は早くなっていた。このメカニズムとしてはa)当初のねらい通りホストのスピン系とLiイオンの運動が強く相関しているb)電荷を持つLiイオンが運動する際に生じる電流と磁場の相関(ローレンツ力)が拡散係数磁場依存の原因c)内殻電子による弱い反磁性を持つリチウムイオン自身が磁場に引っ張られている、といったことが考えられるが、現段階では不明である。
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Research Products
(1 results)