1996 Fiscal Year Annual Research Report
非線形分光法を用いた中高密度流体中での溶媒和のダイナミクスの研究
Project/Area Number |
08230220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 佳文 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60221925)
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Keywords | 超臨界流体 / 時間分解光力一効果 / 分子間振動 / 二酸化炭素 / 亜酸化窒素 |
Research Abstract |
本研究では、超臨界流体中で見られる局所揺らぎのダイナミクスを検討するために、ブロードバンドの超短パルス光を用いた光Kerr効果[OKE]の実験を適用し、純溶媒ならびに溶質を溶かした超臨界流体での低振動領域のラマン散乱を測定することを計画した。今回我々は、実験装置の立ち上げから行ない、チタンサファイアレーザーの基本波(820nm,半値幅80fs程度)を光源とした、ヘテロダイン検出のOKE (OHD-OKE)測定の光学系を構成した。超臨界流体に対する測定を行なうための高圧光学容器は、耐圧50MPa以上の一般的な2方窓付き(8mm厚の合成石英窓、光路長4mm)のものを用いた。その結果、超臨界二酸化炭素および亜酸化窒素に対してOKE信号の密度変化を、臨界密度付近からその2倍程度の領域にかけて測定することに成功した。 実験の結果、両流体中でのOKE信号は、電子応答ならびに分子間振動をしめす部分と、回転緩和をしめすテ-ルの部分から構成されることが明らかとなった。回転緩和部分の解析から、両流体の回転緩和時間はほぼ同程度であり(臨界密度の2倍の密度領域付近で、0.3ps)、二酸化炭素においてはDepolarized Rayleigh scatteringより求められた回転相関関数の減衰定数にほぼ一致しており、本測定の妥当性を示すものと考えられる。また同一の条件下での四塩化炭素液体からの信号との比較により、短時間領域において集団的な分子振動を示す応答が得られていることが示された。ただし、短時間応答の成分は、現状では高圧容器の光路長の制限により十分な時間分解能が得られておらず、現在高圧容器の改良を行い、時間分解能を向上させた条件下での測定を進めているところである。
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Research Products
(1 results)