1996 Fiscal Year Annual Research Report
赤外-紫外二重共鳴分光法による水素結合両性分子クラスターの構造と緩和の研究
Project/Area Number |
08230227
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤井 正明 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (60181319)
|
Keywords | 赤外スペクトル / 二重共鳴分光法 / クラスター / 水素結合 / 7-アザインドール / プロトン移動反応 / 超音速ジェット |
Research Abstract |
プロトン供与基とプロトン受容基を共に有する水素結合両性分子として7-アザインドール分子に着目し、7-アザインドール水和クラスター及び2量体の赤外スペクトルを赤外-紫外二重共鳴分光法(IR Dip分光法)により測定した。測定した7-アザインドール水和クラスター(水1〜3分子)の赤外スペクトルを、種々の配向の7-アザインドール水和クラスターに対する理論赤外スペクトル(渡部秀和・岩田末広、分子科学研究所による)と比較し、水和クラスターが環状構造であることを明らかにした。水分子の水素結合鎖は7-アザインドールと2箇所で結合しており、水素結合両性分子に特徴的な水和クラスター構造が明らかになった。 7-アザインドール2量体は従来の研究により異性体の存在が明らかにされていた。このうち、一方の異性体は電子励起状態でプロトン移動反応活性であり2箇所で水素結合した平面型構造と考えられている。もう一方の異性体はプロトン移動反応不活性であり、これよりプロトン移動反応が困難なT型構造といわれてきた。しかし、どちらの2量体もS1←S0電子遷移が非常に近接しており、水素結合力が同程度と考えられるため反応不活性な2量体のT型構造に疑問が持たれていた。そこで赤外-紫外二重共鳴分光法により反応不活性な2量体の赤外スペクトルを測定したところ、OH基伸縮振動と考えられる明瞭な振動遷移を見出した。これは反応不活性な2量体は純粋な2量体ではなく、水分子を含んだ2量体であることを示しており、反応不活性となる原因が内包されている水分子によることを初めて明らかにした。 以上のように水素結合両性分子の形成するクラスターに関し、赤外-紫外二重共鳴法により構造と反応性を明らかにすることができた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Omi et al.: "Nonresonant Ionization Detected IR Spectroscopy for the Vibrational Study in a Supersonic Jet" Chem.Phys.Lett.252. 287-293 (1996)
-
[Publications] H.Ikoma et al.: "Internal Rotation of Methyl Group in o- and m-Toluidine Cations as Studied by Pulsed Field Ionization - Zero Kinetic Energy Spectroscopy" J.Chem.Phys.(in press).