1996 Fiscal Year Annual Research Report
分子構造の制御されたLB膜を用いたMIM接合の磁気トンネリング効果に関する研究
Project/Area Number |
08231205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安藤 康夫 東北大学, 工学部, 助手 (60250726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 照宣 東北大学, 工学部, 教授 (60101151)
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Keywords | 磁気トンネル効果 / LB膜 / MIM / アクリルアミド / フェロセン / 有機磁性体 / ITES |
Research Abstract |
1.LB膜を用いた強磁性トンネル接合の生成 Co/LB80Ni-Feトンネル接合を作製し,I-V特性を測定した.結果をSimmonsのトンネル伝導の式により最適フィッティングを行った.バリアの高さはほぼそれぞれの分子における遷移のエネルギーの値と,一方,バリアの厚さは積層数によらず,分子1層に相当する厚さとほぼ等しくなった.すなわち電子トンネルは電極間というよりむしろ分子間の電子トラップサイトから生じ,分子間をホッピングしながら伝導している可能性があることを示した. 2.IETSによる金属-有機界面の電子状態の解析 PDDAを3層累積した接合におけるIETSスペクトルをFT-IRスペクトルと比較した.IETSスペクトルにおけるC=O基のエネルギーシフトは金属間の電子移動がC=O基を介して起こっている事を反映しているものと考えられる. 3.フェロセン誘導体薄膜の磁気特性 FT-RTを用いて遷移モーメントの方向を決定し分子配向を解析した.膜面内方向の配向については偏光を用いて透過スペクトルの基板回転角度依存性を調べた結果,累積方向に対してほぼ垂直に分子鎖が並んでいることがわかった.またUV-vis.スペクトルより,LB膜内で電子の非局在化がおきていることを示した.さらに,ESRスペクトルにはg=2.00以外にg=2.91, 4.27にブロードなピークを観測した.これらの吸収は分子内に電荷移動により不対スピンが生じていることを示唆しているとともに,大きなg値を示すことは縮退しているe2g軌道がフェロセン分子の誘導体化により対称性が崩れ,僅かにエネルギー準位が分裂し,見かけ上大きなg値を示したものと解釈された.
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[Publications] 安藤康夫: "Magnetic Properties of Polymer LB Films Containing Ferrocene Derivatives" Molecular Crystals and Liquid Crystals. 286. 89-94 (1996)
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[Publications] 古泉浩: "Ferromagnetic resonance in 80Ni-Fe/Cu/Co multilayer films" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 164. 293-299 (1996)
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[Publications] 安藤康夫: "Exchange coupling energy determined by ferromagnetic resonance in 80Ni-Fe/Cu multilayer films" Journal of Magnetism and Magnetic Materials.