1996 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖及びヌクレオシドを有する高分子の組織化による高機能材料化
Project/Area Number |
08231227
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
畑中 研一 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (70167584)
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Keywords | ウリジン / ポリスチレン / 糖転移酵素 / 細胞接着 / 細胞移動 / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
ウリジンのC-5′位を選択的にトリチル化し、アセチル化、脱トリチル化の後、p-スチレンスルホニルクロリドと反応して得られたモノマーを重合し、ポリマーをアンモニア飽和メタノールにより脱アセチル化してウリジンを有するポリマーを得た。一方、ウリジンp-スチレンスルホナ-トモノマーとガラストース等の糖残基を有するモノマーとの共重合により目的とするヌクレオシド(ウリジン)および糖を有する高分子を合成した。ウリジンを有するポリスチレンはガラクトシルトランスフェラーゼを阻害した。強い阻害作用の主な要因としては、高分子阻害剤を用いたことによる高分子効果のため、見かけの結合定数が大きくなったためと考えられる。さらに、ウリジンを有するポリスチレンを疎水性シャーレ表面にコートし、細胞膜表面にガラクトシルトランスフェラーゼを有する線維芽細胞3T3-L1の接着や増殖を検討した。ウリジンを有するポリスチレンの疎水性シャーレへの吸着はESCAにより確認された。ウリジンを有するポリスチレンでコートされた疎水性シャーレへの線維芽細胞3T3-L1の接着は、未処理シャーレ上への接着と比較して、接着細胞数の増大が確認された。しかも、この細胞接着はEDTAによって阻害された。即ち、この細胞接着は金属イオンを必要とする特異的接着であり、細胞表面の糖転移酵素を介したものである可能性が高いと考えられる。また、ポリマーコートシャーレ上にコンフルエントになるように播種した線維芽細胞3T3-L1の一部ををパスツールピペットではがし取り、無血清培地中で24時間培養し、細胞の動きを観察したところ、3T3-L1細胞はウリジンを有するポリスチレンでコートしたシャーレ上を移動していることがわかった。このことは、細胞膜表面のGalTaseがウリジンを認識して結合と解離を繰り返している可能性があることを示している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 畑中研一,富岡伸之ら: "天然多糖の修飾による分枝多糖の化学合成" 日本接着学会誌. 37. 256-260 (1996)
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[Publications] 南澤俊和、畑中研一: "生理活性を有する酸性多糖" 繊維学会誌. 52. P63-P68 (1996)
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[Publications] 畑中研一: "生理活性の高い硫酸化多糖を求めて" 化学. 52. 68-69 (1997)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "New Polymeric Inhibitor of Galactosyl Transferase" Journal of Carbohydrate Chemistry. 16(印刷中). (1997)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "Synthesis and Biological Functions of Uridine-Containing Polystyrene" Proceedings of XVIII International Carbohydrate Symposium. 18. 573 (1996)
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[Publications] 畑中研一、西村紳一郎、大内辰郎、小林一清: "糖質の科学と工学" 講談社サイエンティフィク, 176 (1997)
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[Publications] K.Hatanaka et al.: "Polysaccharides in Medicinal Applications" Marcel Dekker,Inc.(New York), 794 (1996)