1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08232219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八代 盛夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30192785)
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Keywords | 二核金属錯体 / 三核金属錯体 / 亜鉛錯体 / リン酸エステル / 加水分解 / 銅多核錯体 |
Research Abstract |
[1]こでまでの種々の研究から、(1)有機リン酸エステルの加水分解、(2)NOxの分解の2種の反応において、複数金属の協同触媒作用が知られている。複数金属の協同触媒作用の本質を解明し、活性中心の原子レベルでの分子設計を行えば、次世代高性能触媒の構築が期待できる。本研究では、有害物質を効率的に分解する金属酵素および金属担持触媒の活性中心に倣った多核金属錯体を合成し、その錯形成挙動、および有害物質分解反応における触媒活性を検討した。 [2]核酸のリン酸エステル結合や有機リン酸エステル系農薬を加水分解する酵素として、活性中心に2個または3個の金属イオン中心をもつものがあり、酸-塩基協同触媒作用によって加水分解反応を触媒している。前年度の研究において、これらの酵素の活性中心を模倣したZn^<2+>、LA^<3+>、およびCd^<2+>二核錯体を構築し、RNAのリン酸ジエステル結合を極めて高い活性で加水分解することを見い出した。本年度においては、Zn^<2+>三核錯体を新たに設計した。三核錯体は、二核錯体よりもさらに高活性でRNAを加水分解活性し、3個のZn^<2+>が、2個の場合よりもさらに強力な協同触媒効果を示すことを初めて明かにした。また、これら多核錯体は、有機リン酸エステル系農薬の分解触媒としてを極めて有効であり、リン酸トリエステル化合物を速やかに分解した。 [3]NO分解触媒^<6)>およびN_2O還元酵素^<7)>において銅二核中心が重要であることが知られている。また酸化還元酵素の中には銅三核中心も見い出されている。これらの触媒の本質を抽出して、高効率的な触媒設計の指針を得るために、銅多核錯体の合成を試みた。新たに設計した配位子をもちいることにより、多核Cu錯体が得られ、興味深い構造および磁気的性質を示すことが明らかとなった。詳細な検討をさらに進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.YASHIRO,A.ISHIKUBO,M.KOMIYAMA: "Trinuclear Zn(II) Complex for the Efficient and Structure Dependent Hydrolysis of RNA" Nucl.Acid Res.,Symp.Ser.(35). 103-104 (1996)
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[Publications] M.YASHIRO,M.HATTORI,A.ISHIKUBO,M.KOMIYAMA: "Dinuclear Cd(II) Complex for the Efficient RNA Hydrolysis" Nucl.Acid Res.,Symp.Ser.(35). 143-144 (1996)
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[Publications] M.YASHIRO,A.ISHIKUBO,M.KOMIYAMA: "Dinuclear Lanthanum(III) Complex for the Efficient Hydrolysis of RNA" J.Biochem.120(6). 1067-1069 (1996)
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[Publications] M.YASHIRO,A.ISHIKUBO,M.KOMIYAMA: "Efficient and Unique Cooperation of Three Zinc(II) Ions in the RNA Hydrolysis by a Trinuclear Zinc(II) Complex" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.(1). 83-84 (1997)