1996 Fiscal Year Annual Research Report
大環状複素環化合物合成に適したメソ空間反応メディアの開発
Project/Area Number |
08232224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10144122)
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Keywords | 大環状複素環化合物 / メソ位アルキル置換ポルフィリン / 反応メディア / 反応場 / メソ空間 / メソ多孔性 / FSM-16 / ファインケミカルズ合成 |
Research Abstract |
メソ多孔性の強酸性固体酸K10が,アルデヒドとピロールからのメソ位置換ポルフィリンの合成に優れた反応場となることを,筆者らは既に報告した.本研究では,均一な細孔を有し,しかも細孔径を任意に変えられる特徴をもつFSM-16に着目し,細孔径の異なる強酸性FSM-16(細孔径20,28,36Å,すべて4wt%Al_2O_3含有)を用いて,メソ位アルキル置換ポルフィリンの合成に最適な反応場を探索し,さらにFSM-16使用法の長所も明らかにした. 細孔径の異なる3種のFSM-16は,ほぼ等しい酸強度と酸密度を有することがわかり,ポルフィリン合成収率と,反応場として機能するFSM-16の細孔径の関わりを調べることができた.その結果,小さな分子径のメソーテトラペンチルポルフィリンの合成には細孔径28ÅのFSM-16が,メソーテトラデシルポルフィリンには36Åのものが最適であることがわかり,ポルフィリン分子サイズに応じた最適な反応場のサイズが存在し,合成収率に大いに影響を及ぼすことが明確となった.また,使用後のFSM-16を空気中で焼成(400℃)することにより,FSM-16は再生され,同じ反応に再度使用した場合収率は全く低下することはなく,何度でも再利用可能である長所を持つことを明らかにした.以前に見出した多孔性固体酸K10の場合には再使用できない事実と比べると,メソ多孔性FSM-16使用の有用性が明らかになった.この研究の成果は,メソ多孔性FSM-16をファインケミカルズ合成に適用した最初の成功例と言える.
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