1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロポリ酸の特殊反応場を用いた触媒反応系の分子反応工学
Project/Area Number |
08232244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田川 智彦 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10171571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 繁雄 名古屋大学, 工学部, 教授 (90023283)
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Keywords | 特殊反応場触媒 / ヘテロポリ酸触媒 / 分子反応工学 / 強酸性触媒 / 選択的酸化反応 / ベンゼン直接酸化 / フェノール合成 / 鉄塩触媒 |
Research Abstract |
1.これまでの経緯 ヘテロポリ酸を持つ様々な機能を複合化させることにより、新しい反応場を構築し、目的とする反応系への最適触媒を設計する反応工学的な検討を分子論的な視点から行っている。すでに、分子論的なアプローチによる反応器設計について新MTBE合成プロセスの提案を行った。また、部分イオン交換による不溶性と強酸性を複合化した反応場の工学的展開を図る目的で、トルエンと無水安息香酸によるフリーデル・クラフツアシル反応を検討し、副反応の影響を考慮した新しい反応速度式を提案した。本研究では、強酸性と酸化力を複合化した反応場における、ベンゼンの液相直接酸化によるフェノール合成の可能性を検討した。 2.触媒の設計とスクリーニング 当研究室において研究実績のある塩化鉄触媒を用い、オートクレーブ中酸素10MPa加圧下、300Kで反応を行った。塩化鉄のみ、ヘテロポリ酸のみではいずれも反応は起こらなかったが、塩化鉄とヘテロポリ酸を混合すると反応が進行した。この場合は均一系で反応し、H_3PW_<12>O_<40>が最も効果的であった。一方、ヘテロポリ酸を鉄で部分イオン交換することで、こうした反応場を不溶性の固体上で固定化することに成功した。活性の序列はヘテロポリ酸の酸性に依存し、H_3PW_<12>O_<40>が高活性を示したが、均一系の場合と比べると活性は低下した。このことは、固体触媒の粒子内拡散の影響等を考慮する必要があることを示唆している。 3.活性劣化機構 反応は酸素分圧に依存したが、経時変化は反応率が15から25%程度で停止することを示した。そこで、12時間経過して、反応が停止した後にL-アスコルビン酸を添加したところ、活性が回復した。これは、反応の進行に伴って活性な鉄イオンが酸化されてしまい失活するが、還元剤であるL-アスコルビン酸の投入により再度、活性が回復することを示唆した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Seo,Y.: "Phenol synthesis by liquid phase oxidation of benzene by molecular oxygen over ion exchanged HPA" Journal of Molecular Catalysis. (印刷中). (1997)
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[Publications] 田川智彦: "ヘテロポリ酸の機能の複合化による触媒反応" 触媒. 38. 266-271 (1996)