1996 Fiscal Year Annual Research Report
低圧蒸着法による極低濃度ガス検知用半導体ガスセンサの新規設計法に関する研究
Project/Area Number |
08232263
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
玉置 純 立命館大学, 理工学部, 助教授 (10207227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島ノ江 憲剛 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10274531)
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Keywords | 半導体ガスセンサ / 硫化水素センサ / 低圧蒸着法 / p-n接合 / 極低濃度ガス検知 |
Research Abstract |
ppmレベル以下の極低濃度で存在するH_2Sを検知するため、低圧蒸着法によりSnO_2およびCuO-SnO_2薄膜を調整した。SnO_2薄膜は合成空気1Torrの雰囲気下で金属スズを加熱して蒸発させ、アルミナ基板上に付着させた。一方、CuO-SnO_2薄膜は、蒸発源に金属スズおよび金属銅を用い、同時に蒸発させることにより調整した。薄膜の組成は、各蒸発源に印可するヒーター電圧を調節することにより変化させた。得られた薄膜の膜構造をAFMを用いて調べたところ、SnO_2膜およびCuO-SnO_2膜は、平均粒子径がそれぞれ28および52nmの比較的大きな粒子から成っていることがわかった。膜厚は約00nmであるため、膜は粒子が数個積み重なって構成されていること、また所々に孔径40〜80nmのメソポアを有していることがわかった。 これらの蒸着膜のH_2S検知特性を調べたところ、SnO_2膜では400℃において良好な応答・回復速度が得られた。SnO_2膜は直線的な濃度-感度依存性を示し、低濃度側は0.1ppmまでのH_2Sが検知できた。CuOを微量添加したCuO-SnO_2膜では、回復速度が改善され、300〜350℃で完全な回復が得られた。Cuoの添加により感度が増大しており、10ppmH_2Sに対する感度は、300℃で320、350℃で200であった(SnO_2膜の感度は4)。このCuO-SnO_2膜により、300℃では0.02ppm、350℃では0.05ppmのH_2Sの検知が可能となった。 以上のように、低圧蒸着法により調製したCuo-SnO_2膜を用いて数十ppbの極低濃度H_2Sが検知可能であることがわかった。このような高感度の原因として膜が比較的大きな粒子から成り、しかもメソポアを有していることから、H_2Sが膜内部に拡散しやすくなったためと考えられる。
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[Publications] 玉置純: "CuO-SnO_2系硫化水素センサにおけるp-n接合の形成と役割" 表面科学. 17・8. 469-474 (1996)
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[Publications] D.J.Yoo: "Suppression of Grain Growth in Sol-Gel Derived Tin-Dioxide Ultra-Thin Films" J.Amer.Ceram.Soc.79・8. 2201-2204 (1996)
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[Publications] N.Yamazoe: "Role of Hetero-Junctions in Oxide Semiconductor Gas Sensors" J.Mater.Sci.Eng.B. 41. 178-181 (1996)
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[Publications] 玉置純: "半導体ガスセンサに見られるヘテロ接合の利用" 表面. 34・12. 737-743 (1996)
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[Publications] C.Xu: "Nature of Sensitivity Promotion in Pd-Loaded SnO_2 Gas Sensor" J.Electrochem.Soc.143・7. L148-L149 (1996)
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[Publications] M.Akiyama: "Characterization and Control of Adsorbates of Nitrogen Mono-oxide on Tin Dioxide Surface" DENKI KAGAKU. 64・12. 1285-1292 (1996)