1996 Fiscal Year Annual Research Report
細菌情報処理系からの細胞インテリジェンス発生過程の創発システム理論による解明
Project/Area Number |
08233218
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大竹 久夫 広島大学, 工学部, 教授 (10127483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 純一 広島大学, 工学部, 助教授 (90231258)
辻 敏夫 広島大学, 工学部, 助教授 (90179995)
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Keywords | 細菌 / 創発システム / 細胞インテリジェンス |
Research Abstract |
生命体の優れた性質を模倣するlife-likeシステムは、近い将来私たちの社会において重要な役割を担うシステムとして登場するであろう。さて、細菌は、大きさわずか数ミクロンに満たない小さな生命体であり、土壌や水園さらには人体にまで及ぶ広域的な環境に生息している。一般に細菌が生息する環境はうつろいやすく、そこでは栄養物の濃度、温度、水分などの環境条件も急激かつ突発的に変動する。したがって、こうした環境に生息する細菌には、環境の変化にうまく対応できるようにインテリジェントな能力が備わっている。多くの細菌には運動性があり、環境からの刺激に応答して泳ぐ方向を変えることにより、好ましい環境へ集積したり好ましくない環境から逃避したりすることができる。これらの能力によって細菌は互いに情報を交換したり、また無機的な環境とも交渉することができると言われている。細菌は、real-lifeの行動を分子のレベルで理解するためのよいモデルでもある。本研究では、細菌が好ましい環境へ集積したり好ましくない環境から逃避したりする性質(走化性と呼ぶ)を対象として、細菌のインテリジェントな行動を再現するコンピュータモデルを構築した。細菌の走化性を対象としたのは、それがreal-lifeの行動を客観的にかつ定量的に解析するための最も単純なシステムと思われるからである。本研究で構築したモデルは、細菌の走化性を支える分子機構に関する生物学的知見に基づいて設計されたもので、誘引物質に対する細菌の行動をうまく再現することができる。将来、このモデルは細菌システム全体を分子レベルで再現するデジタル生命体の一部として利用されることになるであろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Taguchi, K.: "Cloning of the Pseudomonas aeruginosa gene encoding CDP-diglyceride synthetase." Gene. 172(1). 165-166 (1996)
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[Publications] Nikata, T.: "Molecular analysis of the phosphate-specific transport (psf) operon of Pseudomonas aeruginosa." Mol. Gen. Genet.250(6). 692-698 (1996)
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[Publications] 黒田章夫: "細菌の走化性トランスデューサー型蛋白質ファミリー" 蛋白質 核酸 酵素. 41(2). 146-153 (1996)
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[Publications] Ohtake, H.: "Bacterial phosphonate degradation, phosphite oxidatin and polyphosphate accumulation" Resources, Conservation and Recycling. (in press).
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[Publications] Ohtake, H.: "Chemotactic signal transduction network in Pseudomonas aeruginosa." American Society for Microbiology, (1996)
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[Publications] Ohtake, H.: "An approach to molecular artificial life : bacterial intelligenct behavior and its computer model." MIT Press, (in press),