1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08234228
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Research Institution | National Institute of Multimedia Education |
Principal Investigator |
仁科 エミ 放送教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (20260010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 力 千葉工業大学, 工学部, 教授 (90015652)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 感性科学 / 生理学的評価 / 脳波 / 脳血流 / 演出戦略 |
Research Abstract |
仮想世界が人間の脳におよぼす影響を分析・把握する手法を確立するとともに、リアリティ感覚に作用するすぐれた伝統的演出戦略についての知見を応用し、高度なリアリティ感覚を電子的に実現する演出戦略を開発することを目的として以下の研究を行った。 (1)自然音に含まれる可聴域上限(20kHz)をこえる高周波成分は脳波α波を増大させる効果をもつことを研究者らは明らかにしているが、高周波の共存が音響のリアリティを増大させる作用ももつことを心理学的評価実験によって見出した。 (2)昨年度開発した脳のアクティビティを指標とするリアリティ感覚評価樹法をもちいて、音響のリアリティ演出に関する評価実験をおこなった。なかでもポジトロン断層法(PET)による脳血流計測によって実験をおこなった結果、高周波成分を豊富に含む音響は、脳幹や視床など生命維持や感性情報処理に深い関連のある重要な脳内臓器を活性化する効果をもつことを発見した。 (3)上記(2)の効果は、複雑な非定常構造をもつ高周波に特有の効果であることを見出し、人工音のリアリティを高めるうえで有効な知見を得た。 (4)高周波成分を豊富に含む音源について探査・収集し、非西欧分化圏の祝祭や宗教儀礼に高密度に分布することを見出した。 (5)視覚情報におけるすぐれたリアリティ演出戦略を抽出するために、日本国内およびブルガリア、トルコに所在するユネスコ世界遺産の高精細度記録を行い、研究資料を蓄積した。その分析とそれらを活用したVR作品を開発する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大橋 力、仁科エミほか: "脳波を指標とする映像情報の生体評価" テレビジョン学会誌画像情報工学と放送技術. 50-12. 1921-1934 (1996)
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[Publications] 仁科エミ、大橋 力ほか: "情報環境評価のための可搬型脳波計測システム" 第12回ヒューマン・インタフェース・シンポジウム論文集. 671-676 (1996)
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[Publications] 大橋 力、仁科エミほか: "ハイパーソニック・エフェクトについて" 電子情報通信学会技術報告. SP96-112. 29-34 (1997)
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[Publications] 仁科エミ、大橋 力ほか: "異文化圏に属する声楽の非知覚構造の比較" 日本音響学会平成9年度春季学術講演会講演論文集. 655-656 (1997)
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[Publications] 八木玲子、仁科エミほか: "アンティーク楽器音における可聴域をこえる高周波成分について" 日本音響学会平成9年度春季学術講演会講演論文集. 653-654 (1997)