1996 Fiscal Year Annual Research Report
一次元フォトニッククリスタル構造による非線形光学効果の増強
Project/Area Number |
08236206
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中塚 宏樹 筑波大学, 物理工学系, 教授 (10111915)
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Keywords | フォトニッククリスタル / 一次元フォトニッククリスタル / フォトニックギャップ / フォトニック欠陥準位 / 非線形光学効果 / 縮退四光波混合 / 光位相共役波 / 吸収飽和 |
Research Abstract |
シュレ-ディンガー方程式とマクスウェル方程式の類似性から誘電率が周期的に変調されたフォトニッククリスタルにおいて,通常の結晶と同様,バンドギャップ(フォトニックギャップ)や欠陥準位などが考えられる.我々は屈折率が1.46のSiO_2と屈折率が2.35のTiO_2がともに光学膜厚が4/λ(1/4波長)となるようにガラス基盤上に交互に積層させた一次元フォトトッククリスタルを作製した.この一次元フォトニッククリスタルでは,波長λに対応する周波数を中心に広いフォトニックギャップが形成され,その波長域の光は透過しない.ところがそこに周期を乱す欠陥層を導入するとフォトニックギャップ中に欠陥準位が形成され,欠陥準位に共鳴する光を入射させると,欠陥層において光電場が著しく増強される.この欠陥層に可飽和色素をドープし,吸収飽和が通常の裸の試料と比べて数10分の1の入射光強度で起こることを確認した. この欠陥層における電場増強効果を,非線形光学効果の増強に利用する試みの第一歩として,光照射による劣化や試料作製の不完全さに帰因する光散乱が軽減された,欠陥層を含む一次元フォトニッククリスタルを新たに作製し,縮退四光波混合波の発生を試みた.その結果,裸の試料に比べて数10倍の発生効率の増大が得られた.理論的考察では1000倍程度の発生効率が期待されており,現在一次元フォトニッククリスタル作製法の改良による不完全性の除去と各種パラメータの最適化に努力しており,半導体レーザーなどの弱出力レーザーを用いても位相共役波発生などが行える技術の開発を目指している.
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[Publications] T.Hattori: "Enhancement of optical nonlinearity in one-dimensional photonic crystals" Prog.Crystal Growth and Charact.33. 183-186 (1996)
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[Publications] T.Hattori: "Analysis of optical nonlinearity by defect states in one-dimensional photonic crystals" J.Opt.Soc.Am.B. 14・2. 348-355 (1997)