1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08245224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90213636)
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Keywords | ダイネミシンA / 分子内環化 / ゼルンボン / タキソ-ル |
Research Abstract |
ダイネミシンAやタキソ-ルといった強力な抗腫瘍活性天然物の全合成研究を行った。 (1)生合成素におけるエンジイン骨格形成フラグメントを用いるダイネミシンAの全合成研究 ダイネミシンAの生合成素において提唱されているエンジイン骨格形成フラグメントに着目し,さらに効率的な合成経路を計画,実践した。ダイネミシンAの環状エンジイン部分を含んだ右側の部分骨格構築を,エノンおよびβ-ケトエステルを有する2つのジイン鎖をジヒドロアントラセンの9,10位にビシクロ型で固定し,分子内環化反応により,ジイン骨格を含んだビシクロ[7.3.1^<11,12>]トリデカン-7,10,13-トリケトンを合成した。このトリケトンから,何段階かのステップを経てダイネミシンAの環状エンジイン部分を含んだキノン-イミン中間体の合成を試みる予定である。なお,このジヒドロアントラセン部分は逆Diels-Alder反応によりエン部分を生成できることを既に確認している。 (2)ゼルンボンからのタキソ-ルAB環の合成研究 東南アジア産土生姜から抽出される11員環トリエノンの構造をもつゼルンボンの化学変換を行ない,抗腫瘍性のタキソ-ルAB環構築法の開発を行なった。2つのエノン部分への段階的アイケル付加反応をTMSCN,PhSHを用い行なった。種々の検討の結果TMSCNを用いた場合,BF_3を触媒として用い,またPhSHの場合テトラブチルアンモニウムフルオリドを触媒としそれぞれ,10位に選択的にCN,PhS基をそれぞれ導入することができた。PhS基の導入されたエノンにBF_3触媒存在下,CN基を3位に導入でき,2つのエノン部分の段階的官能基化に成功した。
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Research Products
(1 results)