1996 Fiscal Year Annual Research Report
面性キラリティーによって構築される光学活性ポリマーの研究
Project/Area Number |
08246204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 雅彦 東北大学, 薬学部, 教授 (30158117)
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Keywords | 面性キラリティー / 大環状アミド / ジアニリンスペーサー / ベンゾ[C]フェナントレン / 光学活性 / 光学分割 |
Research Abstract |
分子量数千から数十万の有機分子である合成高分子と生体高分子が,高度な機能を発現することはよくしられており,高分子化学や生物化学で,研究が精力的に行われている.低分子有機化合物がオングストロームサイズであるのに対して,このような巨大有機分子はナノ有機分子と呼ぶことができる.我々は,現代有機化学の手法でナノ有機分子を取り扱ってみることに興味をもった.有機化学と高分子化学や生物化学の間の新しい領域が展開できるとともに,新しい機能性材料や生理活性物質の開発も期待される.ここでは光学活性ヘリセンジカルボン酸で構成される大環状アミド構造のナノ有機分子の合成研究について述べる. まず,1, 12-ジメチルベンゾ[C]フェナントレン-5, 8-ジカルボン酸に着目し,光学的に純粋な化合物をグラム単位で供給する方法を確立した.次に,このユニットを含む光学活性大環状アミド類の合成を行った.一段階合成法を検討し,(M) -(+) -[1+1]cycloamide, (M, M) - (-) -[2+2]cycloamide, (M, M, M) - (-) -[3+3]cycloamide,ならびに(M, M, M, M) - (-) -[4+4]cycloamideを良好な収率で与える方法を開発した.立体構造については,[1+1]cycloamideのアミド部はs-cis構造をとり,アニリン環は回転できないことがNMRおよびN, N-ジメチル体のX線結晶構造解析でわかった.[2+2]cycloamide, [3+3]cycloamide,および[4+4]cycloamideの結晶構造解析にはまだ成功していないので,計算化学的方法で構造解析した.いずれも2つs-cis構造と残りのs-transよりなるという結果が得られた.全体としては中空構造ではなく,螺旋構造を取ることが示された.
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[Publications] M.YAMAGUCHI, H. OKUBO M.HIRAMA: "Synthesis of optically active macrocydes consisting of helical chiral unit. 1, 12-Dimethylbenzo [C] phenanthrene-S, 8-dicarboxylic" J. Chem. Soc., Chem. Commun.1996. 1771-1772 (1996)