1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08248203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 範夫 東北大学, 工学部, 助教授 (50250725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 大樹 東北大学, 工学部, 助手 (00225715)
柴田 明徳 東北大学, 工学部, 教授 (30005251)
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Keywords | 鉄筋コンクリート造 / エネルギー応答 / 地震動入力エネルギー / 破壊力特性 / 瞬間入力エネルギー |
Research Abstract |
地震動を受けた構造物は,繰返しの効果による累積損傷や急激なエネルギー入力による大変形などの損傷を受ける。本研究では鉄筋コンクリート造建物を対象とし,構造物の地震時エネルギー応答性状の解明を試みた。これによって,地震動が構造物に及ぼす破壊力特性の違いを評価することが目的である。 構造物の地震応答は,地震動によって入力されたエネルギーを,構造物が粘性減衰及び履歴によって消費するメカニズムによって捉えることができる。構造物の損傷は応答最大塑性率及び履歴消費エネルギーと深く関わっていると考えられるため,地震動入力エネルギー,消費エネルギーの割合などを地震動ごとに検討することによって,繰返しの効果も考慮した地震動の破壊力特性評価が可能である。 また,構造物へ地震動のエネルギーが入力されていく過程についての検討を行うため,応答の過程において1質点系の運動エネルギーの値が0から再び0になるまでの時間において構造物が消費したエネルギーの増分を考えた。この消費エネルギー増分に対応する地震動入力エネルギーの増分を瞬間入力エネルギーと定義する。この瞬間入力エネルギーによって地震動のエネルギー入力過程の検討を行ったところ,直下型地震はエネルギー入力がある時刻に集中し,海洋型地震は何度にもわたって入力される傾向にあることが分かった。応答最大変形は地動最大値や総エネルギー入力よりも,最大瞬間入力エネルギーに依存しているといえる。 以上の研究結果より,地震動の総エネルギー入力やエネルギーの入力過程の検討は,地震動が及ぼす破壊力特性の評価に有効であるといえる。
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[Publications] 堀則男: "梁降伏型RC造骨組の縮約1自由度系による耐震設計手法の検討" 構造工学論文集. Vol. 42B. 33-40 (1996)
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[Publications] Norio Hori: "Inelastic Seismic Design Procedure based on Energy Response Behavior of RC Structures" Eleventy World Conference on Earthquake Engineering. No. 1107. (1996)
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[Publications] 河本慎一郎: "梁降伏型RC造骨組の縮約1自由度系置換による耐震性能評価" 日本建築学会東北支部研究報告集. 第59回. 445-448 (1996)
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[Publications] 堀則男: "観測地震動による構造物のエネルギー応答性状" 日本建築学会大会学術講演梗概集. B-2. 601-602 (1996)
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[Publications] 井上範夫: "直下型地震のエネルギー的な破壊力特性に関する一考察" 第1回都市直下地震災害総合シンポジウム論文集. 107-110 (1996)
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[Publications] 井上範夫: "地震動のエネルギー入力性状と構造物の応答" 過大入力を受ける建築構造物の動的崩壊過程の解明シンポジウム資料. 149-154 (1996)