1996 Fiscal Year Annual Research Report
多様な制御系に関与する酵母のDNA非結合性転写抑制因子Tup1の機能
Project/Area Number |
08250210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 工学部, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向 由起夫 大阪大学, 工学部, 助手 (60252615)
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Keywords | 酵母 / 転写制御 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
7個のWDリピートを持つ出芽酵母のTup1タンパク質は、Ssn6タンパクとともに種々のDNA結合タンパクと会合し、多様な遺伝子の転写を抑制するDNA非結合性一般転写抑制因子である。Tup1ホモログが他の真核生物にも存在するか否かを、Kluyveromyces lactis、Schizosaccharomyces pombe、Pichia farinosaについて検討した。その結果、K.lactis酸残基からなるタンパク質で、Tup1とWDリピートでは86%、全体では60%の相同性を示した。K-Tup1は、tup1変異株が示す種々の表現型を相補したことから、機能的にもTup1の作用を代替できることがわかった。 一方、昨年度までの研究によって、Tup1-Ssn6転写抑制系が減数分裂に必須のIME1遺伝子のプロモータ上で、A(-1215〜-915)、B(-914〜-621)の2つの領域に作用することを明らかにし、このうちB領域に機能未解析のホメオタンパク(KHP1と命名)が結合することを明らかにした。領域B内にはホメオタンパクの標的となり得る配列が存在したので、この部位を含む-702〜-675の領域へのkhp1の結合をone-hybrid法により解析した結果、実際に結合することがわかった。さらに大腸菌により発現、精製したHis-Tag-Khp1融合タンパクを用いてゲルシフトアッセイを行ったところ、in vitroにおいても同領域に結合することがわかった。次に、領域B内のTup1-Ssn6による抑制を受ける領域を、リン酸濃度の低下により活性化を受けるUSAの抑制能によって限定したところ、-702〜-675の領域に、tup1破壊株においてもなお抑制能があることがわかった。以上の結果より、Khp1は、IME1プロモータにおいてTup1-Ssn6複合体とは独立に転写抑制に作用する出芽酵母の新しいDNA結合ホメオタンパクであると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Bun-ya,M.et al.: "Two new genes involved in inorganic phosphate transport in Saccharomyces cenevisiae" Current Genetics. 29. 344-351 (1996)
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[Publications] Oshima et al.: "Regulation of phosphatase synthesis in Saccharomyces cenevisiae-a review" Gene. 251. 171-177 (1996)
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[Publications] 原島 俊: "真核生物遺伝子転写抑制機構の階層性と多様性,-出芽酵母の転写抑制因子Bel2とTup1-" 蛋白質・核酸・酵素. 41. 1187-1197 (1996)