1996 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ背腹構造形成に関わる突然変異Da遺伝子の解析
Project/Area Number |
08254204
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾里 建二郎 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 教授 (90026790)
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Keywords | 背腹構造突然変異 / メダカ / 染色体地図 / RAPDマーカー / 遺伝的距離 / 物理的距離 / ポジショナルクローニング |
Research Abstract |
メダカの突然変異Daは体の背側構造が腹側化している形態形成突然変異である。本研究ではDa遺伝子のクローニングをめざして染色体連鎖地図の作製およびマーカーDNAの単離とその検討を行った。120種類の10ないし12ヌクレオチドのプライマーを用いて、40〜200個の野生型HNIとの間の戻し交配個体についてPCR反応を行い128個のRAPDマーカーを得た。112マーカーについては25種類の連鎖群に分別された。これによってDaと連鎖するマーカー8個を得た。さらにこれを東京大学嶋研究室で得られたものと重ね合わせた結果、新たなマーカー9個を得た。 しかしRAPDマーカーには再現性について問題があると言われている。そこでDaに比較的近いマーカーの3個についてクローニングを行い、それぞれについて塩基配列を決定した。これらのマーカーが今後の解析に有用であるためには塩基配列がユニークであることとゲノム上に1コピーのみ存在することが必要である。プライマーの内側に20ベースのプライマーを作製し、通常のPCR反応によってバンドを確認した結果、単一のバンドが野生型系統HNIとDaの両方で増幅され、それぞれのDNA断片を適当な制限酵素で切断することによって、両者間での多型を検出することができた。戻し交配個体を用いて、このマーカーについて調べると、RAPDマーカーと同様の挙動を示し、これらを使って遺伝子型の同定をすることが可能となった。これらのマーカーはDa近傍の有効なマーカーとして使用することができる。その中の一つは130個体検定して常にDa遺伝子と連鎖していたことから、その遺伝子距離は0.8センチモルガン以下で、物理的距離にして約300kベース以内であると考えられる。この程度のマーカーをさらに数個得てDa遺伝子をこれらのマーカーで挟むことが今後の課題である。
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[Publications] M.Kinoshita et al.: "A stable line of transgenic medaka (Oryzias latipes) carrying the CAT gene." Aquaculture. 143. 267-276 (1996)
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[Publications] H.Toyohara et al.: "Transgenic expression of L-gulonor γ-lactone oxidase in medaka (Oryzia latipes), a teleost fish that lacks this enzyme necessary for L-ascorbic acid biosynthesis." Biochem.Biophys.Res.Comm.223. 650-653 (1996)
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[Publications] H.Toyohara et al.: "Functional promoter activity of human heat-shock element in transgenic medaka fry." Ann.Report Interdiscipl.Res.Inst.Environ.Sci.15. 49-53 (1996)