1996 Fiscal Year Annual Research Report
ミューテーター癌遺伝子をモデルとした環境変異源の発癌リスクと遺伝要因
Project/Area Number |
08255233
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 武司 大阪大学, 医学部, 助教授 (90028382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 博 滋賀医科大学, 教授 (00110560)
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Keywords | ミスマッチ修復遺伝子 / 遺伝性非ポリポ-シス大腸癌 / ゲノム不安定性機構 / HPRT遺伝子 / 突然変異のスペクトル / ミューテーター活性 |
Research Abstract |
遺伝性非ポリポ-シス大腸癌(HNPCC)は、ミスマッチ修復遺伝子欠損に起因することが明らかにされている。ミスマッチ修復遺伝子欠損に伴うゲノム不安定性機構を調べるため、HNPCC細胞のゲノム遺伝子に生ずる突然変異を詳細に解析した。 用いた細胞は遺伝性非ポリポ-シス大腸癌由来で、ミスマッチ修復遺伝子hMLH1に欠損をもつHCT116と、GTBPに欠損をもつHCT-15である。両細胞から自然誘発HPRT突然変異クローンそれぞれ約70を収集し、各クローンについて、(1)RT-PCR法によるHPRT遺伝子cDNAの回収、(2)多重PCRによるHPRT遺伝子各エキソン領域の検出と回収、(3)回収したcDNA、エキソン領域DNAのシーケンシング、によってゲノムHPRT遺伝子に生じた全ての突然変異を同定した。得られた突然変異のスペクトルを、正常ヒト末梢血T細胞のHPRT突然変異スペクトルと比較、ミスマッチ修復欠損で生じる突然変異の特異性を検討した。 HCT116、HCT-15両細胞に誘発された突然変異の際だった特徴は、すべて塩基置換または1〜数塩基の欠失で、正常T細胞で10〜15%みられたHPRT遺伝子領域全体、あるいは3′又は5′側を含む大きな欠失は全く検出されなかったことである。このことは、ミスマッチ修復欠損細胞では正常細胞より100倍以上の高頻度で、塩基置換又は1〜数塩基の小さな欠失変異を誘発していることを示している。HCT116細胞の誘発突然変異の約60%は塩基置換で残りは1〜数塩基の欠失であった。一方HCT-15は大半が塩基置換で1〜数塩基の欠失は数%認められるだけであった。これらの結果は、HCT116ではゲノム不安定性の指標とされる、マイクロサテライトでの2〜数塩基繰り返し配列での欠失を高頻度で誘発するが、HCT-15ではその欠失の頻度がHCT116に比して低いこととよく符合する。以上のことから、ミスマッチ修復遺伝子欠損をもつHCT116(hMLH1)とHCT-15(GTBP)細胞のゲノムHPRT遺伝子に生じた突然変異スペクトルは、それら細胞の示すゲノム不安定性をよく反映している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Suzuki,M.: "LET dependence of cell death,mutation induction and chromatin damege in human cells irradiated with accelerated carbon ions" Adv.Space Res.18(1/2). 127-136 (1996)
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[Publications] Tachibana,A.: "Large deletions at the HPRT locus associated with the mutator phenotype in a Bloom's syndrome lymphoblastoid cell line" Molec.Carcinogenesis.17. 41-47 (1996)
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[Publications] Ohzeki,S.: "Spectra of spontaneous mutations at the hprt locus in colorectal carcinoma cell lines defective in mismatch repair." Carcinogenesis. (in press). (1997)