1996 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミントランスポーターのパーキンソン病誘発神経毒MPP+認識領域の解析
Project/Area Number |
08256229
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北山 滋雄 広島大学, 歯学部, 助教授 (80177873)
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Keywords | ドーパミントランスポーター / パーキンソン病 / 選択的神経細胞死 / 神経伝達物質再取込み機構 / COS細胞遺伝子導入発現系 / 神経毒 / MPP+ / アミノ酸点変異 |
Research Abstract |
ドーパミントランスポーターのin vitroアミノ酸点変異により作成したミュータントトランスポーターをCOS細胞に発現させることによりその輸送活性を調べ、パーキンソン病誘発神経毒MPP+(1-methyl-4-phenylpyridinium)に対するドーパミントランスポーターの構造機能相関を解析した。新規に対象としたのは第11膜貫通部位の極性アミノ酸残基チロシンである。ラットDATでのこの533番目のチロシンに相当するアミノ酸はヒトではフェニールアラニンである。そこでこのラットDATチロシンをアラニン、フェニールアラニンに置換した点変異トランスポーター(Y533A、Y533F)を作成し、これをCOS細胞に一過性に発現させ機能的差異を調べた。その結果いずれの変異DATにおいてもDA、MPP+取り込みに変化が認められ、特にY533Aにおいて取込み増加が著名であった。またDA、MPP+取り込みのキネティクスの変化は両変異DATで異なっており、Y533Aでは親和性の上昇が見られたのに対しY533Fでは親和性の低下とVmaxの増加が認められた。各トランスポーター発現細胞でのMPP+毒性を調べた結果、Y533F発現COS細胞のMPP+毒性感受性が低下していた。予め細胞内に負荷した[^3H]DA、[^3H]MPP+のトランスポーターを介した逆輸送(細胞からの遊離)を調べた結果、Y533Fを介した[^3H]MPP+遊離の増加が認められた。以上の結果から第11膜貫通部位チロシン残基がMPP+認識とそのトランスロケーションに重要な役割を果たしていること、また先の7S-A2ミュータントDATの結果ともよく一致してDAT逆輸送活性の促進を介した細胞内MPP+が再分布によりMPP+毒性が修飾されることが示唆された。一方、DA取り込みに対するコカインの抑制はY533Aでは野生型とほぼ同じであったに対し、Y533Fではその抑制のIC50が野生型の約1/2となっており、コカインに対する感受性が増加していた。脳神経細胞膜へのコカイン結合の親和性はヒトの方がラットより高いことが報告されており、この感受性の違いが一部第11膜貫通部位アミノ酸の違いによる可能性が示唆された。
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[Publications] S. Kitayama and T. Dohi: "Cellular and molecular aspects of monoamine neurotransmitter transporters." Jpn. J. Pharmacol.72. 195-208 (1996)
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[Publications] S. Kitayama et al.: "Uptake and release of dopamine through the rat dopamine transporter expressed in Xenopus laevis oocytes." Neurosci. Lett.211. 132-134 (1996)
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[Publications] S. Kitayama et al.: "Cocaine inhibits the release of MPP+ but not dopamine through the rat dopamine transporter." Eur. J. Pharmacol.309. 107-109 (1996)
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[Publications] S. Kitayama et al.: "Cellular and molecular mechanisms of drugs of abuse : cocaine, ibogaine, and substituted amphetamines" SF Ali and Y Takahashi, The New York Academy of Sciences, New York, 452 (1996)