1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08256239
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早坂 清 山形大学, 医学部, 教授 (20142961)
武田 泰生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245462)
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80200484)
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Keywords | 遺伝性ニューロパチー / シュワン細胞 / アポトーシス / ミエリン / 神経軸索 / 細胞接着因子 / GGF |
Research Abstract |
遺伝性ニューロパチーの原因蛋白、PASII/PMP22、は細胞増殖抑制効果をもつことが知られており、この蛋白の過剰発現が疾患の原因となる可能性が示されている。本研究では発育過程におけるシュワン細胞のアポトーシスとそれを調節する要因について検討した。 1)ラット末梢神経系の発育過程において、in vivoでシュワン細胞にアポトーシスにる細胞死が観察され、このアポトーシスはシュワン細胞の増殖期からミエリン形成初期に至る時期にピークを示した。この時期にin vivoでシュワン細胞の著明な増殖とアポトーシスが起こることにより、その数が適正に調節され、神経軸索と1対1に対応が可能になることが示唆された。 2)神経軸索との接着を失ったシュワン細胞はアポトーシスを起こすことから、神経軸索から何らかのシグナルを受けることのできたものが生存し、その後のミエリン形成へと至るものと考えられる。生存のためのシグナルとして活性因子郡と細胞接着因子郡が存在するが、活性因子郡の中では、GGFが最もその効果が顕著であった。 3)GGFは既知のものとは異なるアイソフォームが少なくとも3種類抹消神経系に発現しており、これらが末梢神経系の発育過程においてシュワン細胞増殖期からミエリン形成初期に至る期間に安定して発現することにより、その生存因子としてシュワン細胞の数の調節に重要な役割を果たすことが示唆された。また、シュワン細胞の培養上清の添加により著明にアポトーシスが抑制されることから、未知の因子がオートクライン的に作動する可能性が示された。
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[Publications] Tachi N: "A new mutation of the PO gene in patients with Charcot-Marie-Tooth disease type 1B : screening of the PO gene by heteroduplex analysis." Neurosci Lett. 204. 1-4 (1996)
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[Publications] Takechi T: "A deletion of five nucleotides in the LICAM gene in a Japanese family with X-linked hydrocephalus." Hum Genet. 97. 353-393 (1996)
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[Publications] 篠田純: "末梢神経系神経細胞に発現するglial growth factorの新しいアイソフォームの同定" 神経化学. 35 (3). 392-393 (1996)
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[Publications] 武田泰生: "L1とP0蛋白質" 蛋白質核酸酵素増刊 脳における情報伝達. 42 (3). 542-551 (1997)
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[Publications] Nakao J: "Apoptosis regulates the number of Schwann cell at the premyelinating stage." J Neurochem. (in press). (1997)
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[Publications] 武田泰生: "実験医学別冊Bio Science用語ライブラリーアポトーシス" 羊土社, 206 (1996)
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[Publications] 植村慶一: "神経の再生と機能再建【基礎と臨床】" 西村書店, 451 (1997)