1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本産モグラの遺伝的分化とその内部寄生線虫の共進化に関する研究
Project/Area Number |
08257210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 宗裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70177096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 永 北海道大学, 農学部, 教授 (80001428)
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Keywords | モグラ / 系統進化 / 分子進化 / MOgera属 / ミトコンドリアDNA / 線虫 / Ascarops mogera / 共進化 |
Research Abstract |
日本産モグラ類のうちMogera属の種の扱いについては、研究者によって種の分類基準が異なるため、様々な学説がある。そこで、ミズラモグラ(Euroscaptor mizura)と日本産Mogera属のモグラについて、ミトコンドリアDNAにコードされている遺伝子の一つであるcytochrome coxidase subunit I遺伝子の一部(394bp)の塩基配列を決定し、それらの塩基配列から系統関係を推定した。その結果、これらの中ではミズラモグラがもっとも早く分かれ、遺伝的にもMogera属とは大きく離れていることが明らかとなった。研究者によって独立種として扱われているいくつかの個体群を含む日本産Mogera属数十個体を分析した結果では、これらはアズマモグラ(M.imaizumii)、コウベモグラ(Mogera wogura)、サドモグラ(M.tokudae)の3つのグループに大きく分かれ、「日本産Mogera属は3種」とする説を支持するものであった。しかしこれらの種内についてさらに詳しく検討してみると、アズマモグラは大きく4つのグループに、コウベモグラは3つのグループに分けられ、これらの分化はほぼ同時期に起こっていることが明らかとなった。CO1遺伝子から推定された系統関係をふまえた上で、種・亜種等についての再検討が必要と考えられた。 モグラ類とその内部寄生線虫の共進化については、1)Mogera属3種すべてから寄生報告があること、2)分布域が広く寄生率が比較的高いこと、3)Mogera属のモグラとミズラモグラ以外から寄生報告がないことなどから、対象線虫をAscarops mogeraとし、現在標本の採集と塩基配列の決定を行っている。
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