1996 Fiscal Year Annual Research Report
DNA塩基配列に基く扁形動物渦虫類の系統関係の推定
Project/Area Number |
08257213
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 雅道 岡山大学, 理学部, 教授 (50011565)
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Keywords | 扁形動物 / 渦虫鋼 / 無腸目 / 分子系統 / リボソームRNA / 進化 |
Research Abstract |
三胚葉性動物の進化の基点に位置するグループとして、後生動物の進化を考える上で重要な扁形動物渦虫類の系統的関係を18SリボソームDNA(18S rDNA)の塩基配列に基づく解析により推定した。渦虫類の系統関係に関しては、近年興った分岐分類学が、カテヌラ目を最も原始的なグループと考える点で、無腸目を最も原始的なグループとみる伝統的分類学と対立している。無腸目、カテヌラ目、多食目、卵黄皮目、順列目、棒腸目、全腔目、三岐腸目、多岐腸目の9目より17種を選び、ゲノムDNAより18S rDNAに特異的なプライマーを用いてほぼ全長にあたる約2000塩基対のDNA断片をPCR法で増幅し、ジデオキシ法により塩基配列を決定した。そのデータにDNAデータバンクから引用した菌類、原生生物、二胚葉性動物(海綿、刺胞、有櫛動物)、条虫類、吸虫類の配列を合わせて,近隣結合法、最節約法、最尤法により系統樹を作成し、それを従来の形態に基づく系統樹と比較した。本研究の結果は:(1)渦虫鋼の出現の後で条虫類、吸虫類が派生する点は従来の分類学のものと一致していた。(2)渦虫類のなかで最も早期に分岐したグループは無腸目であるという点で伝統的分類学と一致し、分岐分類学の考えを指示しなかった。(3)伝統的および分岐分類学の考えと異なり、三岐腸目が無腸目の次に分岐し、かる残りの7目の集まりに対する姉妹群となっていた。渦虫類の塩基配列を多くの多細胞生物の18SrDNA塩基配列と併せて系統樹を作成した場合も、無腸目は必ず三胚葉性動物の中で最も早く分岐していた。本研究の結果は、無腸目こそが三胚葉性動物の起源近くに位置する動物である可能性を強く示唆している。
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[Publications] T.Okada: "Secretoy function of the test cell in larval tumic formation in the ascidian" Zoological Science. 13. 253-261 (1996)
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[Publications] T.Katayama: "Phylogemetic relationships of turbellarian oralers inferred from 18S rDNA seguences" Zoological Science. 13. 747-756 (1996)
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[Publications] 石原勝敏(編): "動物発生図譜" 共立出版, 348 (1996)