1996 Fiscal Year Annual Research Report
Rasタンパク質とそれに相互作用する機能タンパク質の結合様式の解析
Project/Area Number |
08260205
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小出 寛 東京工業大学, 生命理工学部, 寄附講座教員 (70260536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上代 淑人 東京工業大学, 生命理工学部, 寄附講座客員教授 (90012690)
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Keywords | 癌遺伝子 / タンパク質 / 分子生物学 / 生化学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Rasは細胞の増殖や分化、癌化において重要な役割を果たしている低分子量GTP結合タンパク質である。我々は数年前にRasがセリン・スレオニンキナーゼであるRafと結合することを見い出したが、Rafを活性化するにはRasの結合だけでは不充分であることから、RasによるRafの活性化において必要な第3の分子の同定を試みている。そのために、平成8年度はRaf活性化の無細胞系を確立した。活性変異型Rasを含む粗膜画分とRafを含む細胞質画分を各々調製した後、試験管内で混合して反応させるとRas依存的なRafの活性化が観察された。この活性化は種々の界面活性剤で阻害されることから、Rafの活性化には膜構造が必要であると思われた。現在、この無細胞系で用いている粗膜画分や細胞質画分を出発材料として、Rasと共同してRafを活性化する因子の精製を行っている。またこれと並行してR-Rasの研究を本年度より開始した。R-RasはRasと高い相同性を有している低分子量GTP結合タンパク質で、Rafと結合することも報告されている。そこでまずRafの下流に位置するMAPKの活性に対するR-Rasの効果についての検討を行った。その結果、R-RasもMAPKを活性化したが、その活性化はRasに比べて非常に弱いものであった。また、興味深いことにR-RasによるMAPKの活性化はIGF-I刺激によって協同的に促進された。R-RasによるMAPKの活性化もRafを介して行われていると思われるため、Rafの活性化についても同様なことが観察されると考えられる。今後はR-Rasの高次構造解析を行い、Rasと比較することによって、Rafの活性化におけるRasとR-Rasの差異を高次構造の見地から検討していく予定である。
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