1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08260208
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
郷 通子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70037290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由良 敬 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50252226)
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Keywords | 転写因子 / ホメオドメイン / モジュール / リン酸基結合 / 塩基認識 / プラスチド / 逆転写酵素 / RNaseH |
Research Abstract |
本研究で明らかにしたことは、(1)転写因子のモジュール構成と機能相関、(2)プラスチドの転写産物IRF170がコードするタンパク質がホメオドメインとの類似性をもつこと、(3)逆転写酵素はRNaseHドメインと他のドメインとの融合型であるが、ドメイン融合が起きるために必要だったと推定されるアミノ酸置換の位置と数、の3点である。各項の内容は以下の通りである。(1)蛋白質のDNAへの結合は、まずリン酸基に結合し、それから塩基特異的な結合部位を探すと考えられている。塩基特異的な結合には、共通のモジュールが用いられている例が多々ある。リン酸基との結合もまた、モジュールによって担われているか?そうであるなら、リン酸基結合モジュールには共通の立体構造が存在するか?DNAとの複合体として立体構造が判明している転写因子群を対象して研究を行った結果、転写因子は塩基を特異的に認識する塩基認識モジュールと、リン酸基を非特異的に結合するリン酸基結合モジュールとの組み合わせとして構築されていることが、明らかになった。また、原核生物由来の2種類の転写因子と真核生物由来のDNAポリメラーゼとの間に、立体構造がよく似ていてリン酸基との相互作用の様式が同じリン酸基結合モジュールが見つかった。この結果はモジュールのかき混ぜの痕跡であろう。(2)はIRF170がプラスチドの分化を制御していることを示唆した。また、IRF170はらん藻にも存在することから、ホメオドメインによる遺伝子発現の制御は真核生物と原核生物の分岐以前から存在していたことが示唆された。(3)RNaseHドメインと単独ドメイン型であるRNaseHIとの構造比較を行った結果、ドメイン接触部位で最低14個の適応的なアミノ酸置換が必要であったことが示された。
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[Publications] Yura,K: "The homeodomain-like putative product of plastid genome : A possile role in plastid differentiation" Res.Commu.Biochem.Cell & Mol.Biol.(in press).
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[Publications] Shirai,T: "Adaptive amino acid replacements accompanied by domain fusion in reverse transcriptase." J.Mol.Evol.(in press).