1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08265104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井出 利憲 広島大学, 医学部, 教授 (60012746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清宮 啓之 癌研究所, 化学療法センター, 研究員 (50280623)
檜山 桂子 広島大学, 医学部, 助手 (60253069)
柴沼 質子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60245876)
清水 素行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (80130756)
石川 冬木 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (30184493)
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Keywords | テロメア / テロメラーゼ / 細胞不死化 / 癌診断 |
Research Abstract |
テロメラーゼは、細胞が無限分裂寿命をもつ(不死化する)ために不可欠の酵素と考えられ、正常体細胞組織にはなく、癌組織にはあることが予想されていた。本研究の目的は、1)テロメラーゼの精製とcDNAのクローニング、2)癌の発生・進展にかかわるテロメラーゼの癌組織および前癌病変に特異的な発現、3)テロメラーゼの発現調節を担う遺伝子の解明、4)テロメラーゼをターゲットとする癌の新しい早期診断法の確立、および5)新しい化学療法剤ターゲットとしてスクリーニング法の確立、である。 本研究の成果として、以下のころが本年度に明らかになった。 1)テロメラーゼ活性は、癌組織では高頻度に強陽性であり、正常組織ではきわめて弱いか陰性であることが、多くの検体で確認された。2)初期の癌でもテロメラーゼ活性陽性頻度が高い場合が多いことがわかった。3)以上の知見は、テロメラーゼ活性が新しい癌診断の遺伝子マーカーとして期待できることを示した。4)頻度は低いが前癌組織でも高い活性を示すものがあった。5)癌診断および制癌阻害剤スクリーニングのターゲットとしてのテロメラーゼ活性測定のため、テロメラーゼ測定の簡易化、定量化などの改良が進められた。6)癌化の過程でのテロメア短縮とテロメラーゼ発現が、異常染色体をもった細胞を安定に存続せしめ、細胞癌化に寄与することが示唆された。7)テロメラーゼ活性を抑制する遺伝子がヒト3番および5番染色体上にあることがわかり、前者の位置は数Mbまでにせばめられた。8)ヒトテロメア結合蛋白質のcDNA候補を複数クローニングすることに成功した。7)癌細胞の分化によりテロメラーゼ活性が抑制されることがわかった。8)テロメラーゼ酵素の精製、cDNAクローニングにはまだ成功しなかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yasumoto, S., et al.: "Telomerase activity in normal human epthelial cells." Oncogene. 13・4. 433-439 (1996)
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[Publications] Tatematsu, K., et al.: "A novel quantitative "Stretch PCR assay" that detects a dramatic increase in telomerase activity during the progression of myeloid leukemias." Oncogene. 13・11. 2265-2274 (1996)
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[Publications] Hiyama, E., et al.: "Telomerase activity is detected in pancreatic cancer but not in benign tumors." Cancer Research. 57・2. 326-331 (1997)
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[Publications] Shibanuma, M., et al.: "Introduction of senescence-like phenotypes by the forced expression of hic-5 encoding a novel LIM motif protein in immortalized human fibroblasts." Mol. Cell. Biol.17・3. 1224-1235 (1997)
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[Publications] Nakashio, R., et al.: "Significance of telomerase activity in the diagnosis of small differentiated hepatocellular carcinomas." Int. J. Cancer. (in press). (1997)
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[Publications] Shimizu, M., et al.: "Genetic regulation of telomerase in a multiple pathways model." Human Cell. (in press). (1997)
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[Publications] 井出利憲,他: "DNAの複製・修復と発癌" 羊土社, 172 (1996)