1996 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス機構の解析とその発がん、制がん研究への応用
Project/Area Number |
08265107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
口野 嘉幸 国立がんセンター研究所, 生物物理部, 部長 (60124418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 琢磨 東京理科大学, 工学部, 助手 (90256678)
田沼 靖一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10142449)
三浦 正幸 筑波大学, 医学部, 講師 (50202338)
藤田 直也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (20280951)
松沢 昭雄 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50012745)
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Keywords | ICE / CED-3 family proteases / myc関連遺伝子 / Fas / FasL / エンドトキシンLPS / トポイソメラーゼIIα / アポトーシスエンドヌクレアーゼ |
Research Abstract |
アポトーシスは、生体の恒常性の維持に重要な役割を果たし、自己消去のシステムとして機能している。したがってアポトーシスは、遺伝子変異などを起こし、細胞や組織の形成・存続にとって不都合となる細胞を積極的に排除してがんなどの疾病の発生を未然に防ぐ生体防御機構の一つとしても機能していると考えられている。また多くのがん細胞はアポトーシスに対する耐性能を獲得することで、外部からの刺激に感応せず独自に不必要な分裂・増殖を繰り返すことができるようになっていると推察されている。このようなことからアポトーシスの機構を解明することは、がんの発生や進展の機構を理解するだけではなく、がんの増殖の阻止方法やがん細胞の殺傷除去に関する方策を考えていく上でも重要であると思われる。 近年アポトーシス制御に関わる多くの因子・遺伝子が単離・同定され、細胞死誘導のためのシグナル伝達機構の解析が急ピッチで進められている。中でもICE family proteasesを主体とするプロテアーゼカスケードの活性化がアポトーシスのシグナル伝達に重要な役割を果たしていることが明らかにされ、注目されている。ところがアポトーシスの誘導機構についての研究はFasやTNFRを介するものを中心に進められており他のものについては未だ不明な点が数多く残されたままである。そこで本研究班では、班員が独自に開発した実験系を用いて、Mycによるアポトーシスを中心に、その誘導機構を明らかにするとともに、がん細胞におけるアポトーシス誘導や耐性能獲得の機構を多面的に、かつ分子レベルで理解することを目的として研究を行っている。今年度はがん遺伝子c-mycをはじめ、がん抑制遺伝子s-mycやエンドトキシンLPSによって誘導されるアポトーシスにもICE family proteasesの活性化が要求されることを明らかにした。またがん細胞が獲得しているアポトーシス耐性能もICE family proteasesの活性化抑制が原因していることを見いだした。この他にもアデノウイルスE1AによるアポトーシスにトポイソメラーゼIIαが関与していることや、アポトーシスに特異的なDNAの断片化に関与するエンドヌクレアーゼを胸腺細胞から精製し、対応するcDNAのクローニングに成功するなど、活発な研究活動を展開している。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Y.Kuchino,et al.: "Myc-Mediated Apoptosis." Prog.Mol.Subcell.Biol.16. 104-129 (1996)
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[Publications] A.Asai,et al.: "Application of the Apoptotic gene to gene therapy of malignant gliomas." Brain Tumor Research and Therapy. 397-407 (1996)
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[Publications] Y.Kuchino,et al.: "Apoptosis in Cancer." HUMAN CELL. 9. 223-228 (1996)
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[Publications] S.Wang,et al.: "Identification and characterization of Ich-3,a member of the ICE/Ced-3 family and an upstream regulator of ICE." J.Biol.Chem.271. 20580-20587 (1996)
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[Publications] Y-K.Jung,et al.: "Suppression of interleukin-1 β-converting enzyme-mediated cell death by insulin-like growth factor." J.Biol.Chem.271. 5112-5117 (1996)
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[Publications] K.Noguchi,et al.: "Chromosome 22 complements apoptosis in Fas-and TNF-resistant mutant UK110 cells." Oncogene. 13. 39-46 (1996)
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[Publications] S-H.Lee,et al.: "Interleukin-7 inhibits apoptosis of T-lymphoma cells by both inducing the bcl-2 expression and suppressing the ICE-family proteases activation." Oncogene. 13. 2131-2139 (1996)
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[Publications] T.Nakajima,et al.: "Degradation of topoisomerase II α during adenovirus E1A-induced apoptosis is mediated by the activation of the ubiquitin proteolysis system." J.Biol.Chem.271. 24842-24849 (1996)
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[Publications] K.Tanuma,et al.: "Molecular mechanisms of apoptosis." Apoptosis in Normal Development and Cancer. 39-59 (1996)
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[Publications] D.Shiokawa,et al.: "DNA fragmentation during thymic apoptosis is catalyzed by DNase γ." Apoptosis. 1. 147-152 (1996)
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[Publications] A.Suzuki,et al.: "Involvement of Fas in regression of vaginal epithelia after ovariectomy and during an estrous cycle." EMBO. 15. 211-215 (1996)
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[Publications] A.Suzuki,et al.: "Down regulation of cl-2 is the first step of Fas-mediated apoptosis of male reproductive tract." Oncogene. 13. 31-37 (1996)