1996 Fiscal Year Annual Research Report
がん遺伝子とがん抑制遺伝子の相互作用による細胞の増殖・分化の調節
Project/Area Number |
08265245
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
富永 明 高知医科大学, 医学部, 教授 (50172193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相良 康弘 高知医科大学, 医学部, 助教授 (60162319)
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Keywords | がん遺伝子 / がん抑制遺伝子 / goosecoid遺伝子 / PU.1 / ets / 赤芽球 / 分化 / SCL |
Research Abstract |
Goosecoid遺伝子はアフリカツメガエルの原口背唇部に発現され,Spemannのオルガナイザーとして働くホメオボックス遺伝子である。この遺伝子はアクチビンにより誘導されることが知られておりdorsalizing(背側化)効果を持つ。アクチビンにより赤血球に分化する赤芽球系細胞F5にGoosecoid遺伝子(gsc)を発現させると分化を抑制することを見い出した。本研究はこの細胞F5-gsc74-3を用いてgscがどのようなメカニズムで分化を抑制し増殖を誘導するのかを明らかにすることを目的としている。 1.この系でgoosecoidタンパク質(GSC)と結合するタンパク質としてがん遺伝子etsファミリーPU.1を免疫沈降法で検出した。 2.etsファミリーのfli-1,ets-2,PU.1をin vitroの転写・翻訳系を用いて合成し、GSC-ビーズへの結合を検討したところ、PU.1だけが特異的な結合を示した。in vivoでもアクチビン刺激とともに減少し、GSC結合性の分子量約4万の分子はPU.1であることを再沈降法で確認した。 3.さらに、F5-gsc-74-3にマウスPU.1遺伝子をハイグロマイシン耐性を発現するベクターに挿入して移入することによりアクチビン刺激によるヘモグロビン合成が回復することを見い出した。 4.GSCと結合するタンパク質を沈降反応で検出し、さらに免疫沈降法でPU.1だけでなく抑制性がん遺伝子タンパク質Rbを検出した。 5.in vitroの転写・翻訳系を用いて合成したGSCは血液の発生・分化に必須である転写因子SCLと結合しなかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Konishil,M.Blum.E.DeRobertis,A.Tominaga.et al: "Regulation of blood cell differentiation by goosecoid gene and an ets family oncogene PU.1." Cell Structure and Function. 21(印刷中). (1996)