1996 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の悪性形質発現におけるヒアルロン酸リッチマトリックスの役割
Project/Area Number |
08265256
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
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Keywords | ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸リッチマトリックス / SHAP(血清由来ヒアルロン酸結合蛋白質) / ITI(インターα-トリプシンインヒビター) / PG-M / バ-シカン / 運動性 / 浸潤性 / マトリックス分子間相互作用 |
Research Abstract |
二次腫瘍の細胞外マトリックスの特徴の研究からヒアルロン酸(HA)に富む細胞外マトリックス(HAリッチマトリックスと名付けた)は、癌細胞の悪性形質発現(高い細胞増殖性、浸潤性、転移性を持つ)に促進的作用を持つ特異な細胞環境と考えられる。 HAリッチマトリックスからの特異なシグナル伝達機構を仮定し、シグナルを攪乱する方法を開発し、癌細胞の悪性形質発現の制御を試みる。その方法には、シグナル自体の攪乱を目指すものと伝達機構の攪乱のそれの二つがあるが、本年度は、前者、つまり、HAリッチマトリックスの実体とその形成機構を解析し、その抑制方法を開発する研究に焦点を当てた。in vutroの実験から、HAリッチマトリックスの形成は、ヒアルロン酸と血清中のITI(インターα-トリプシンインヒビター)からSHAP-HA共有結合複合体が形成される反応に大きく依存し、その促進とともに数倍に増加した。さらに、SHAPとHAとの共有結合形成には血清中の分子量約45kDaの酵素が関与することが分かった。この酵素蛋白質は、そのN-末端のアミノ酸配列から関連の分子とは異なる未知のものと思われた。酵素の単離とcDNAクローニングを急ぎ、遺伝子操作により酵素活性を抑制し、HAリッチマトリックス形成を制御できる可能性が出てきた。HAリッチマトリックス形成におけるSHAP-HA複合体の役割を調べるため、構成する分子間の相互作用を解析し、HA結合性コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(PG-M/バ-シカン)とSHAPとの相互作用を見つけた。この結合により構成分子間の相互作用が2次、3次的に強められる。この相互作用の抑制を目的に、PG-MのSHAPへの結合部位、及びSHAP中のPG-Mとの結合部位をそれぞれ、各々のcDNA解析結果をもとにして産生させたレコンビナントペプチドとの親和性から解析し、後者については、アミノ酸配列レベルで明らかにした。以上の成果をもとに、HAリッチマトリックスからのシグナル自体をその形成を抑制することにより攪乱し、癌転移における効果を明らかにする基礎的な実験系が確立できた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Perris,R.et al.: "Inhibitory effects of PG-H/aggrecan and PG-M/versican on avian neural crest cell migration." FASEB J. 10・2. 293-301 (1996)
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[Publications] N.Itano and K.Kimata.: "Expression cloning and molecular characterization of HAS protein, a eukaryotic hyaluronan synthase." J Biol Chem. 271・17. 9875-9878 (1996)
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[Publications] N.Itano and K.Kimata.: "Molecular cloning of human hyaluronan synthase." Biochem Biophys Res Commun. 222. 816-820 (1996)
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[Publications] Isogai,Z.et al.: "2B1 antigen characteristically expressed on extracellular matrices of human malignant tumors is a large chondroitin sulfate proteoglycan, PG-M/versican." Cancer Res. 56. 3902-3908 (1996)
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[Publications] Abe,K.et al.: "Presence of atypical laminin on the sulface of mouse lewis lung carcinoma cells." Tohoku J Exp Med. 180. 33-44 (1996)
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[Publications] 玉田康彦、他: "Scleromyxoedema-患者皮膚由来の培養線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生能の検討-" 日本皮膚科学会雑誌. 106・7. 975-978 (1996)
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[Publications] 板野直樹、木全弘治: "プロテオグリカンと癌転移" 現代医療. 28・9. 35-39 (1996)
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[Publications] 木全弘治: "実験医学別冊 用語ライブラリー細胞接着・細胞外マトリックス 概論" 羊土社, (1996)