1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックス受容体を介した腫瘍細胞の動態制御機構の解析
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08265274
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
小栗 佳代子 国立小児病院, 小児医療研究センター, 研究員 (10158826)
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Keywords | がん転移 / マウスルイス肺癌細胞株 / 細胞外マトリックス受容体 / シンデカン / インテグリン / ヘパラン硫酸のフィブロネクチン結合最小糖鎖構造 / 低分子量GTP結合タンパク質Rho |
Research Abstract |
マウス、ルイス肺癌由来の転移能の異なる株細胞を用いて以下の点を明らかにした。 1.インテグリンα5β1と協調的に作用して細胞内にストレスファイバー形成を誘導する、新しいフィブロネクチン受容体シンデカン-2のリガンド結合部位がヘパラン硫酸側鎖であり、生理的に意味を持つ結合最小糖鎖構造が、[IdoA(2S)α1→4G1cNS(6S)]6であることを明らかにした。 2.両受容体でフィブロネクチンに結合した時(低転移性細胞)の、ストレスファイバー形成に至る情報伝達は、低分子量GTP結合タンパク質Rhoを介しているが、インテグリンα5β1のみで結合した時(高転移性細胞)の、ラフリング膜形成にはRhoは介在しないことを明らかにした。 培養下における両株細胞のフィブロネクチン基質に対する応答性の差異は、これまでの私達の研究から、腫瘍内における両株細胞の血管侵入の確率、ひいては転移の確率を左右する要因となると考えられる。現在、低転移性細胞へのシンデカン-2コアタンパクのアンチセンスDNA導入による発現抑制、高転移性細胞へのシンデカン-2コアタンパクcDNA導入による強制発現のための、また、シンデカン-2コアタンパクの細胞質ドメインのリン酸化を受けるセリン残基を特定するためのプローブを完成させており、今後、インテグリンα5β1とシンデカンを介する基質接着特異的な細胞応答のシグナル伝達の機構を明らかにしていく予定である。
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[Publications] Itano,N.,et al.: "Phosphorylation of a membrane intercalated proteoglycans,syndecan-2,expressed in a stroma inducing clone from a mouse lung carcinoma." Biochem.J.315. 925-930 (1996)
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[Publications] 草野由理,他: "細胞外マトリックス受容体シンデカン-2のヘパラン硫酸鎖に含まれるフィブロネクン結合部位の糖鎖構造" Biotherapy. 10. 1318-1323 (1996)
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[Publications] 岡山實,他: "がん転移と細胞接着分子" 現代化学. 308. 51-57 (1996)
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[Publications] 岡山實,他(渡邊明治,岡崎勲編): "細胞外マトリックス,「シグナル伝達」" メディカルビュー社, 1318-1323 (1996)
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[Publications] 小栗佳代子,他(谷口、鈴木、古川、菅原編): "グライコバイオロジー実験プロトコール,「セルロースアセテート膜電気泳動によるGAGの同定」" 秀潤社, 80-85 (1996)
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[Publications] 岡山實,他(谷口、鈴木、古川、菅原編): "グライコバイオロジー実験プロトコール,「β-D-キシロシドを用いたGAG糖鎖の生合成実験法」" 秀潤社, 341-347 (1996)