1996 Fiscal Year Annual Research Report
Na^+,K^+-ATPaseを標的とするブファリンの分化誘導機構解明と抗癌剤としての開発
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08266263
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉田 武美 昭和大学, 薬学部, 教授 (20138415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼澤 聡 昭和大学, 薬学部, 助教授 (80180686)
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Keywords | ブファリン / Na^+,K^+-ATPase / 分化誘導 / アポトーシス / MAPキナーゼ / U937細胞 / THP-1細胞 / ウワバイン |
Research Abstract |
Na^+,K^+-ATPaseを標的とするブファリンの分化誘導やアポトーシス誘導に関して以下の諸点を明らかにした。(1)ブファリンによる無血清培地下でのU937細胞のアポトーシス誘導機構を解明するため、MAPキナーゼカスケードを調べた。10^<-8>Mブファリンの処理により、Ras,Raf-1、MAPキナーゼキナーゼの一時的な上昇が認められ、MAPキナーゼは6-12時間の間持続的に上昇した。さらにcAMPの減少が認められ、Raf-1のリン酸下が低下すること,またフォルスコリンやIBMXで細胞を前処置するとブファリンによるRaf-1の活性化やDNA断片化が阻害された。ブファリンによるU937細胞のアポトーシスはRas-MAPキナーゼ情報伝達系が異常に活性化されることによることが判明した。(2)MAPキナーゼ1のアンチセンスcDNAを発現したU937細胞はブファリンの作用に強い抵抗性を示した。ブファリンによるアポトーシス誘導は、上記の情報伝達系の持続的な活性化が大きく関与していることが強く示唆された。(3)ブファリンのNa^+,K^+-ATPase阻害と分化誘導の関連を知るため、THP-1の分化過程に伴うプロトオンコジーンの変動を調べた。ブファリン処置によりc-mybやc-mycの発現減少、c-fosやEGR-1トランスクリプトの増加が認められ、最終的に増殖能の消失、細胞付着能獲得,NBT還元能やIL-1βが顕著に発現し、マクロファージ様細胞に分化することが明らかになった。(4)代表的なNa^+,K^+-ATPase阻害剤であるウワパインは、ブファリンの場合とほぼ同様な作用を示した。(5)Na^+,K^+-ATPaseの特異的阻害剤ウワパインに対する耐性細胞(THP-1/Oua)を単球性THP-1細胞より分離した。本耐性細胞は、ブファリンに約20倍の抵抗性を示し、高濃度のブファリンを処置しても分化形質の発現は全く認められず、本耐性細胞ではNa^+,K^+-ATPaseを介する分化情報の伝達経路に異常が生じていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Watabe et al: "The cooperative interactions of two different signaling pathways inresponse to bufalin induces apoptosis in human leukemia U937 cells." J.Biol.Chem.27/(24). 14067-14073 (1996)
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[Publications] S.Numagawa et al.: "A carcotonic steroid bufalin-induced differentiation of THP-1 cells:involvement of Na,K-ATPase inhibition in the early changes in proto-oncogene expression." Biochem.Pharmacol.52(3). 321-329 (1996)