1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08267201
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
垣塚 彰 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80204329)
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Keywords | レチノイン酸 / Fas / 融合蛋白質 / 急性前骨髄球性白血病 / エストロゲン |
Research Abstract |
急性前骨髄球性白血病(APL)は、わが国において年間数百例の発症を認める非常に重篤な疾患である・APLの患者は、非常に高率(70‐90%)にレチノイン酸(RA)の経口投与により完全寛解がもたらされるという特筆すべき性格を持つ。このような薬理学的な特徴に加えて、APL細胞は15番と17番染色体間の相互転座を有しており、この転座部位にAPL発症と密接に関係する遺伝子が存在していると考えられていた。我々は、17番染色体及び15番染色体の転座部位にそれぞれレチノイン酸受容体(RAR)遺伝子および今まで未記載のPML遺伝子を同定し、さらに両遺伝子の融合遺伝子であるPML‐PAR遺伝子がほとんどすべてのAPL細胞で発現していることを明らかにしてきた。 APLの解析結果から、我々は、ほかの融合蛋白質を人工的に設計し癌細胞に発現させることによって、APL以外の癌もレチノイン酸のような脂溶性ホルモンで治療できるであろうと考えた。特に固形癌の治療においては、直接癌細胞を殺すことがもっとも効果的と考え、脂溶性ホルモンによりアポトーシスを自由にコントロールするシステムの開発を開始した。まず、アポトーシスのシグナルを伝えることが示されているFas抗原とエストロゲン受容体のエストロゲン結合領域を融合した融合遺伝子を作製した。この融合遺伝子をL929細胞やHeLa細胞に導入し、恒常的に融合蛋白を発現するような細胞株を得た。これらの細胞をin vitroでエストロゲン処理するとアポトーシスの形態を示して死滅することが判明した。更に、これらの細胞よりヌードマウスの皮下に作らせた腫瘍は、やはりエストロゲンアゴニストによってアポトーシスを引き起こすことが判明した。今後、このシステムを癌治療に応用し、エストロゲン等の脂溶性ホルモンにより癌細胞特異的にアポトーシスを誘導する全く新しい癌の治療法を作り上げることを目指して研究していきたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Watanabe,G.,et al.: "Protein Kinase N (PKN9 and PKN‐related protein rhophilin as targets of the small GTP ase Rho." Science. 271. 645‐648 (1996)
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[Publications] Hirata,T.,et al.: "Two thromboxane A2 receptor isoforms in human platelets : Opposite coupling to adenylyl cyclase with different sensitivity to Arg^<60> to Leu mutation." J.Clin.Inv.97. 949‐956 (1996)
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[Publications] Isizaki,T.,et al.: "The small GTP‐binding protein Rho binds to and activates a 160 kDa Ser/Thr protein kinase homologous to myotonic dystrophy kinase." EMBOJ.15. 1885‐1893 (1996)
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[Publications] Ikeda,H.,et al.: "Expanded poly‐glutamine in the Machado‐Joseph disease protein induces cell death in vitro and in vivo." Nature Genet.13. 196‐202 (1996)
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[Publications] Early,E.,et al.: "Transgenic expression of PML‐RARa impairs myelopoiesis." Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93. 7900‐7904 (1996)
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[Publications] Takebayashil,H.et al.: "Hormone‐induced Apoptosis by Fas‐nuclear Receptor Fusion Proteins : Novel Biological Tools for Controlling Apoptosis in vivo." Cancer Res.56. 4164‐4170 (1996)