1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08268247
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
古家 喜四夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40132740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 浩一 島根医科大学, 助手 (70112125)
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Keywords | 乳腺 / 分泌上皮細胞 / ヌクレオチド放出 / 細胞内カルシウム / 機械的刺激 / カルシウム波 / ATP受容体 / Cl・チャネル |
Research Abstract |
乳腺の分泌上皮とそれを取り囲む筋上皮は典型的な非興奮細胞であるが、オキシトシンによる筋上皮の収縮が分泌上皮に機械的刺激となりATPなどのヌクレオチドを放出し、それが分泌上皮上のP2U、筋上皮上のP2Yプリン受容体を活性化すること(Ca波の発生)によってこれらの細胞は相互作用し、乳汁分泌を制御していることを最近明らかにした。この相互作用のきっかけとなる機械的刺激によるヌクレオチドの放出の機構を探るのが当研究の目的であった。ヌクレオチド放出の機序としては;(1)膜の破れ(puncture)による細胞質の流出、(2)チャネルorトランスポータを介した放出、(3)ベシクルなどを介した開口放出(exocytosis)などが考えられた。(1)は通常強さの刺激では細胞内の蛍光色素の減少が見られないことや、細胞質には間違いなく存在するADPが放出されたヌクレオチドには含まれていないことなどから否定できる。(2)について検討するため乳癌細胞でパッチクランプを行った。機械的刺激やATP投与によって最初わずかな内向き電流の後、大きな外向き電流がみられた。この外向き電流はCa依存性Kチャネルであり、キャリブドトキシン(CTX)で抑制された。CTXによって外向き電流が抑制されると、顕著な内向き電流が定常的に観測された。この電流は平衡電位からCl電流と考えられる。またこの電流はNiflumic Acidによって抑制され、各種陰イオンの透過性の順はI>Br>Cl>acetateであった。機械的刺激によっても同様のチャネルが活性化されたが全く同じチャネルがどうかはまだ明らかではない。シングルチャネル記録は試みているがまだ成功していない。コンダクタンスが小さいか、チャネルが局在している可能性もある。(3)については、乳蛋白などがベクシルを介して放出されているがそれは管腔側であり基底膜側への放出はいまのところまだ知られていない。しかしその可能性も残されており、形態的な研究も含め検討中である。
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[Publications] Enomoto K,Furuya K,et al.: "Expression cloning and signal transduction pathway of P_<2U> receptor in mammary tumor cell." Biological Signals. 5. 9-21 (1996)
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[Publications] Yumura S,Furuya K & Takeuchi,I: "Spatial regulation of intracellular free calcium during chemotaxis of Dictyostelium cells." Journal of Cell Science. 109. 2673-2678 (1996)
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[Publications] Furuya S,Furuya K,et al.: "A monoclonal antibody to astrocytes,subepithelial fibroblasts of small intestinal villi and interstitial cells of myenteric plexus." Anatomy and Embriology. 195. 113-126 (1997)
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[Publications] Oosawa Y,Imada C & Furuya K: "Temperature dependency of calcium responses in mammary tumor cells." Cell Biochemistry and Function. (in press). (1997)
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[Publications] 古家喜四夫、榎本浩一: "カルシウム波による細胞間情報伝達" 細胞工学. 16(1). 17-23 (1997)