1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミン受容体と神経可塑性:ヒスタミン受容体ノックアウトマウスを用いた研究
Project/Area Number |
08270203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 建彦 東北大学, 医学部, 教授 (70028356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 武 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40028684)
谷内 一彦 東北大学, 医学部, 助教授 (50192787)
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Keywords | ヒスタミン / ヒスタミンH1受容体 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
ヒスタミンH1受容体遺伝子を相同組換え法により破壊したノックアウト(H1KO)マウスを作成した。脳切片と[3H]メピラミン(ピリラミン)を用いてオートラジオグラフィーにより、H1受容体の分布を調べたところ、野生型では大脳皮質、視床、小脳などに多かったが、H1KOマウスでは、ほとんど検出できなかった。ヘテロマウスでは、野生型の約半分の密度であった。脳の膜分画を用いて[3H]メピラミンあるいは[3H]ドキセピンをリガンドとして結合実験を行い、Skatchardブロットで解析したところ、野生型では高い結合を認めたが、H1KOマウスではほとんど結合せず、ヘテロマウスでは野生型のそれの50%であった。したがってこのH1KOマウスは、H1受容体を欠損している。 このH1KOマウスの行動薬理学的な検討を野生型と比較しておこなった。H1KOマウスは、新規環境において探索行動量、立上り回数が野生型より少くなく、日内リズムが乱れていた。即ち、H1KOマウスは、昼間における移所行動が多く、夜間において少なくなかった。また、H1KOマウスは、侵入者への攻撃が低下しており、高架式迷路試験で潜時が延長しており、排便、排尿回数が多かった。これらを総合して、H1KOマウスは、不安状態が強いと考えられた。また、H1KOマウスは、電撃刺激に対する痙攣持続時間が野生型より長く、この知見は、ヒスタミンは、内因性痙攣抑制作用を有しているという、これまでの研究結果と一致するものである。 現在、ヒスタミンH2受容体遺伝子ノックアウトマウスを作成中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] I. Inoue: "Impaired locomotor activity and expioratory behaviour in mice lacking histamine Hl receptor." Proc. Nat. Acad. Sci.93・22. 13316-13320 (1996)
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[Publications] J. H. Ryu: "Effects of chronic treatments with dopamine D1 and D2 agonists on histamine H3, dopamine D1 and D2 receptors in unilaterally 6-hydroxydopamine-lesioned rats." Br. J. Pharmacol.118・3. 585-592 (1996)
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[Publications] N. Sakai: "Long-term depletion of brain histamine induced by α-fluoromethylhistidine increases feed-ing associated locomotor activity in mice with a modulation of brain amino acid levels." Behav. Brain Res.72・1. 83-88 (1996)
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[Publications] H. Yokoyama: "Centrally acting histamine Hl antagonists promote the development of amygdala kindling in rats." Neurosci. Lett.217・1. 11-13 (1996)
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[Publications] X. -L. Zhao: "Effects of unilateral vagotomy on nitric oxide synthase and histamine H3 receptors in the rat dorsal vagal complex." J. Chem. Neuroanat.11・1. 221-229 (1996)
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[Publications] 渡邉建彦: "ヒスタミン受容体" 蛋白質・核酸・酵素. 42・3. 327-334 (1996)
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[Publications] 前山一隆: "薬理学(上)" 広川書店, 28 (1996)
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[Publications] 渡邉建彦: "神経伝達物質と受容体の神経薬理学" メディカル・ビュー社, 14 (1996)