1996 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子分泌を制御する新規RNAスプライシング調節因子の研究
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08270224
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
和中 明生 福島県立医科大学, 生体情報伝達研究所・細胞科学研究部門, 教授 (90210989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 祐二 大阪大学, 医学部・寄付講座, 教員
高木 勉 大阪大学, 医学部・寄付講座, 客員助教授 (10252686)
古山 達雄 大阪大学, 医学部・解剖学第二講座, 助手 (20238702)
島田 昌一 大阪大学, 医学部・解剖学第二講座, 助教授 (20216063)
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Keywords | RA301 / RA410 / 虚血 / 再酸素化 / アストロサイト / Piflerenthal Pisplay |
Research Abstract |
我々はこれまで神経系のストレス応答に焦点を絞り研究を行ってきた。具体的には神経系の中でもっともストレス応答に長じていると考えられるグリア細胞に焦点を絞り、この細胞の虚血再酸素化状態における特異的な遺伝子発現を検討した。この実験系においてすでに虚血再酸素化により大量のIL-6が分泌されることが知られている。IL-6はまた絵神経細胞に対して栄養効果を発揮することからグリアがストレス刺激により周囲の神経細胞を保護する役割を発揮することが以前より示唆されてきた。Differential display法で虚血再酸s素化時のアストロサイトと正常酸素濃度下のアストロサイトの遺伝子発現を比較するといくつかの候補遺伝子を同定することができた。そのうちの2種類の遺伝子に焦点を絞り、構造解析、発現解析、機能解析を行った。RA301はショウジョウバエのtransformer-2と最も相同性の高い新規遺伝子をコードしており、実際に再酸素化にさらしたアストロサイトで発現が短時間に誘導される。ラットの中大脳動脈閉塞モデルにおいても虚血巣周辺で上昇することから培養細胞だけではなく実際の脳内でも機能していることが明らかとなった。また機能面では前もってRA301の発現をアンチセンスオリゴヌクレオチド処理で抑制しておくと再酸素化時のIL-6の分泌が有意に抑制されることからこの分泌経路のどこかで促進的に作用していることが示された。またもう一つの遺伝子RA410は酵母の小胞輸送関連蛋白の一種であるsly-1に最も相同性が高く、直接分泌現象に関わる遺伝子と考えられた。RA301と同様に虚血脳での発現誘導が認められ、且つアンチセンス処理による培養アストロサイトからのIL-6分泌抑制も観察された。これらの結果からアストロサイトは再酵素化ストレス時に新規の蛋白分泌系を発動して神経細胞の保護に当たっていることが示された。
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Research Products
(1 results)