1996 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス後肥厚のカルモデュリン依存性プロテインキナーゼによるシナプス伝達の調節
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08270231
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山内 卓 徳島大学, 薬学部, 教授 (90041813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 好之 徳島大学, 薬学部, 助手 (20035554)
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Keywords | PSD(postsynaptic density) / Ca^<2+> / PSD-CaM kinase II complex / translocation / protein kinase / calmodulin / protein phosphorylation |
Research Abstract |
PSDはシナプス伝達の中心となる部位であり、伝達物質受容体刺激以降の細胞内の情報伝達に関与する多くの分子が存在している。本研究では、PSDの主要構成タンパク質であるCa^<2+>/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(キナーゼII)の活性調節とキナーゼIIによってリン酸化され機能調節されるタンパク質を中心に解析し、受容体刺激以降の細胞内情報伝達の仕組と調節の分子メカニズムを解明し、脳の高次機能の基礎過程を分子レベルで理解することを目的とする。これまでの研究で、PSDキナーゼIIの活性化について、不活性なPSDキナーゼIIが、自己リン酸化された場合にのみ、Ca^<2+>プロテアーゼであるカルパインによって5-10倍活性化されることが明らかになった。さらに、細胞質のキナーゼIIがリン酸化に依存してPSDに可逆的にトランスロケーションすることが明らかとなった。すなわち、細胞質キナーゼIIをCa^<2+>/カルモデュリン存在下に自己リン酸化しPSDと反応させたのち、遠心分離を行うと、細胞質キナーゼIIがPSDとともに沈殿し、PSD-キナーゼII複合体を形成することが明らかとなった。PSD-キナーゼII複合体はCa^<2+>非依存性活性をもち、Ca^<2+>が存在しない状態でPSDの多くのタンパク質をリン酸化することがわかった。また、プロテインフォスファターゼにより複合体のキナーゼIIが脱リン酸化されると、キナーゼIIは再び細胞質に戻ることが明らかとなった。このことは神経刺激により細胞内のCa^<2+>が上昇すると、細胞質のキナーゼIIがCa^<2+>非依存性活性を獲得すると同時にPSDに移行し、PSDの機能タンパク質をリン酸化することにより、Ca^<2+>シグナルの持続時間及び神経伝達効率が調節されることを示している。今後、PSDキナーゼIIの基質の同定とそれらのcDNAクローニングを行い、シナプス形成や可塑性に関与するタンパク質のリン酸化による機能変化を解析し、長期増強などの分子メカニズムを明らかにする。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yosimura,Y.,et al.: "Purification and characterization of active fragment of Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase II from the post-synaptic density in the rat forebrain" J.Biochem.119. 268-273 (1996)
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[Publications] Nishioka,N.,et al.: "Gene of rat Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase II α isoform its cloning and whole structure" FEBS Lett.396. 333-336 (1996)