1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08271227
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30179501)
|
Keywords | 転写因子 / 哺乳類脳 / ホメオボックス / 神経発生 / 標的遺伝子 |
Research Abstract |
哺乳類脳内で領域特異的発現をしている転写調節因子をコードする遺伝子が、我々を含むいくつかのグループによってクローン化されている。これらの遺伝子はその標的遺伝子群の発現をコントロールすることによって、哺乳類の神経機能の発現にかかわる多様な神経細胞の形成にかかわっていると考えられる。我々は転写因子の抗体を用いた標的遺伝子クローン化の方法を開発し、これまでに哺乳類の形態形成にかかわる遺伝子のいくつかの標的遺伝子を同定してきた。本研究の目的はこの標的遺伝子クローン化法を用いて哺乳類脳内で領域特異的発現をしている転写因子の標的遺伝子群を単離することによって、多様な神経細胞の形成期行を分化レベルで明らかにすることである。 これまでにHox遺伝子群、Dbx遺伝子群、unc4遺伝子の発現パターンの解析、抗体の調製を終了し、標的遺伝子の同定を行いつつある。その結果、Hox標的遺伝子の一つが、線虫Hoxの標的と考えられていた遺伝子のマウスホモログであることが明らかになった。このことは哺乳類と線虫の間でHox遺伝子の標的遺伝子が、少なくともその一部は共通であるということを強く示唆している。このことに加え、線虫は全神経細胞間のネットワークがすべて明らかになっていること、2年以内に全塩基配列の決定が計画されていることから、標的遺伝子単離にきわめて都合の良いモデル生物だと考えられる。そこでホモローグ遺伝子がすでに単離されている遺伝子(Hox、unc4)については哺乳類と並行して線虫での標的遺伝子を単離し、哺乳類標的遺伝子と比較することを計画し、それらの遺伝子産物に対する抗体を調製した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] H.Saegusa et.al.: "Targeted Disruption in the Mouse Hoxc-4 Locus Results in Axial Skeleton Homeosis and Maltormation of the Xiphoid Process." Developmental Biology. 174. 55-64 (1996)
-
[Publications] H.Shoji et,al.: "Regionalized Expression of the Dbx Family Homeobox Genes in the Embryonic CNS of the Mouse." Mechanisms of Development. 56. 25-39 (1996)
-
[Publications] T.Ito et,al.: "A Serine/Threonine Rotein Kinase Gene Isolated by an in vivo Binding Procedute Using the Arabidopsis Floral Homeotie Gene Product,AGAMOUS." Plant and Cell Physiology. (in press). (1997)
-
[Publications] 高橋 直樹: "Hox遺伝子産物による転写調節機構" 蛋白質・核酸・酵素. 41. 1088-1094 (1996)
-
[Publications] 高橋 直樹: "ハエとマウスの癌抑制遺伝子" Molecular Medieine. 33. 768-773 (1996)