1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルスベクターによるグルタミン酸受容体の遺伝子発現とその制御機構の解析
Project/Area Number |
08271233
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川本 進 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80125921)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 聡 横浜市立大学, 医学部, 助手 (40275037)
|
Keywords | グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / イオンチャネル / ヘルペスウイルスベクター / ウイルスベクター / 中枢神経系培養細胞 / 遺伝子発現 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
神経親和性である単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus 1;ここではHSVと略す)に由来する欠損型非増殖性HSVベクター発現系の一般的な検討を行い、方法論的に改良、発展させることを進め、本系のプロトコールを成書にまとめた(シュプリンガー・フェアラーク東京)。NMDA型グルタミン酸受容体(GluR)チャネルは、2種(ε,ζ)のサブユニットファミリーにより構成され、εサブユニットの分子的多様性がその機能的多様性の基盤を担っている。εサブユニット発現HSVクローンの研究を昨年度に続いて更に進めつつ、新たに、ζ1サブユニットのHSVクローン(HSV/GluRζ1)を構築・解析した。すなわり、HSV/GluRζ1を感染させたRabbit skin cellについて、RT-PCR、ドットブロット及びウェスタンブロット解析により、その高い発現が確認でき、発現したζ1サブユニットタンパクを分子的、機能的に解析するとともに、εサブユニットと組み合わせてin vivoでの感染実験を計画している。また、ζ1サブユニットタンパク分子の種々の部位の欠損変異体や、AMPA型GluRα1サブユニットの部位特異的変異体を発現するバキュロウイルスクローンを構築して、各リガンドの結合領域の解析を進めた。また、ラット胎仔大脳皮質初代培養神経細胞の細胞死に阻害的に機能している未知遺伝子のHSVベクターを構築し、その未知因子の機能解析を進め、本遺伝子産物がBcl-2、BDNFの発現を調節して細胞死に阻害的に働く機能を持つ因子であることが示唆された。また、悪性グリオーマに対する遺伝子治療用ベクターの可能性も考え、インターフェロンγやインターロイキン2を発現するHSVクローンを構築し、グリオーマ細胞、ヌードマウスを用いてin vitro、in vivoで基礎的検討を進めている。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Kawamoto,S.: "Arginine-481 mutation abolishes ligand-binding of the AMPA-selective glutamate receptor channel α1 subunit." Mol.Brain Res.(in press). (1997)
-
[Publications] Uchino,S.: "Analysis of the glycine binding domain of the NMDA receptor chennel ζ1 subunit." NeuroReport. 8・2. 445-450 (1997)
-
[Publications] Kawamoto,S.: "Molecular and functional analyses of the glutamate receptor channel subunits expressed in baculovirus and herpesvirus vactor systems." Biochemical Society Transactions. 24・2. 567S (1996)
-
[Publications] Kawamoto,S.: "Expression of the NMDA receptor channel subunits using a baculovirus vector and a defective herpes simplex virus vector." FEBS'96 Abstracts. 186 (1996)
-
[Publications] 服部,聡: "ウイルスベクターを用いた遺伝子治療" 歯界展望. 88・6. 1373-1385 (1996)
-
[Publications] 服部,聡: "欠損型ヘルペスウイルスベクター系を用いたグルタミン酸受容体チャネルの発現・解析" 生化学. 68・7. 866 (1996)
-
[Publications] Kawamoto,S.: "Gene Therapy" Friedmann,T.,Mulligan R.,Nabel,G.and Weatherall,D. (Cold Spring Harbor Laboratory), 388 (1996)
-
[Publications] 服部,聡: "ニューロサイエンスラボマニュアル2:神経生物学のための遺伝子導入発現研究法" 中川八郎・吉川和明(シュプリンガー・フェアラーク東京), 363 (1997)