1996 Fiscal Year Annual Research Report
大脳体性感覚野において触覚刺激に依存した発現をするプロテオグリカンの構造と機能
Project/Area Number |
08271248
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 部長 (20101074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 ふみ子 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 助手
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Keywords | 脳 / バレル / 神経回路 / プロテオグリカン / ニューログリカンC / NGC / リン酸化 / 染色体座 |
Research Abstract |
ニューログリカンC(NGC)は、私達が神経回路網形成期のラット脳において発見した新奇な膜貫通型コンドロイチン硫酸プロテオグリカンである。大脳体性感覚野に存在するバレル構造の形成過程において、視床皮質線維からの入力が開始する時期に一致して、NGCがバレルの内腔から消失していくことから、NGCの発現は神経活動に依存していると考えられる。本研究の目的は、NGCの構造と機能を解明することにより、神経回路形成の分子機構の一断面を明らかにすることである。本年度の成果は、次の通りである。 1.抗ラットNGCポリクローナル抗体の作製:ラットNGCコア蛋白の細胞外コンドロイチン硫酸結合領域と細胞内領域を、それぞれ大腸菌に合成させ、それをウサギに免疫した。Western blot分析により、いずれの抗血清も、ラット以外に、ニワトリ、マウス、ネコ、サルおよびヒトの脳ホモジェネート中のNGC相当分子を認識した。 2.NGCコア蛋白のリン酸化:リコンビナントNGCコア蛋白の細胞内領域は、ラット脳由来のCキナーゼ(Boehringer)により効率よくリン酸化されたが、カゼインキナーゼII(Boehringer)ではリン酸化されなかった。逆に、コンドロイチン硫酸結合領域は、カゼインキナーゼIIによりリン酸化された。 3.ヒトNGC遺伝子のクローニングと染色体座の決定:ヒトNGCは、塩基配列とアミノ酸配列のいずれにおいても、ラットNGCと約83%の相同性を示した。また、NGCの特徴的な構造は両者で完全に保存されていたことから、NGCは発達期の脳における基本的な機能に関わっていると考えられる。なお、NGCの染色体座は、FISH法により3p21.3と決定された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Watanabe,E.,Kushima,Y.and Oohira,A.: "Hepran sulfate proteoglycan associated with growing parallel fibers of granule cells in the rat cerebellar cortex" Journal of Brain Science. 22. 67-75 (1996)
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[Publications] Watanabe,E.,Matsui,F.,Keino,H.et al.: "A membrane-bound heparan sulfate proteoglycan that is transiently expressed on growing axons in the rat brain" Journal of Neuroscience Research. 44. 84-96 (1996)
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[Publications] Preobrazhensky,A.A.,Oohira,A.et al.: "Identification of a monoclonal antibody AT5 as a new member of HNK-1 antibody family : The reactivity with myelin …" Neurochemical Research. 22(in press). (1997)
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[Publications] Fukuda,T.,Kawano,H.,Ohyama,K.et al.: "Immunohistochemical evidence for molecular interactions implicated in the formation of the thalamocortical …" Journal of Comparative Neurology. in press (1997)
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[Publications] 大平 敦彦: "神経回路形成と脳特異プロテオグリカン" 神経研究の進歩. 44. 952-960 (1996)
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[Publications] 時田 義人,大平 敦彦: "脳特異プロテオグリカン;ニューログリカンC、ニューロカン、ホスファカン" 蛋白質 核酸 酵素. 42. 567-570 (1997)
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[Publications] 大平 敦彦,他: "「実験医学別冊」(宮坂昌之、矢原一郎編),Bio Science用語ライブラリー「細胞接着」(分担、pp.43-51)" 羊土社, 205 (1996)
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[Publications] 大平 敦彦、松井 ふみ子: "「細胞工学別冊」(谷口、鈴木、古川、菅原監修),グリコバイオロジー実験プロトコール(分担、pp.86,pp.305)" 秀潤社, 382 (1996)