1996 Fiscal Year Annual Research Report
EFハンド型カルシウム結合タンパク質の機能構造の解明
Project/Area Number |
08272201
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 俊之 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (10217052)
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Keywords | EFハンド / 多次元NMR / 溶液構造 / リカバリン |
Research Abstract |
EFハンド型カルシウム結合タンパク質には、カルシウムの結合によって大きな構造変化が引き起こされ、活性状態(あるいは非活性状態)になる制御型タンパク質(あるいは制御型ドメイン)と、反対に構造変化がほとんど起こらない緩衝型タンパク質(あるいは緩衝型ドメイン)の2種類がある。何がこの違いを支配しているかを異種核多次元核磁気共鳴(NMR)法を用い解明することを本研究の目的とする。 まず、EFハンド型カルシウム結合タンパク質の三次元構造データを集め、EヘリックスとFヘリックスの相対配置また両者のコンタクトに関与している残基の特定を行った。しかし、カルシウム結合および非結合の両状態の構造が知られている例は、制御型ドメインでは3例、緩衝型ドメインとしては1例しかなく、両者の違いを正確に評価することが困難であった。そこで、カルシウム結合型リカバリンのNMR構造解析を開始した。このEFハンド型タンパク質のN末端は脂肪酸で修飾されており、この疎水性部分を利用してカルシウム依存的に細胞膜と相互作用し、ロドプシンキナーゼの活性を調節する。我々は既にカルシウム非結合型の構造を決定しており、カルシウム結合型の構造解析によりカルシウムの結合が引き起こす構造変化を明らかに出来る。中分解能の構造が現在得られており、リカバリンでは、カルシウムの結合によってN末端ドメインのEFハンド構造は大きく変化するが、C末端ドメインはほとんど変化しないことがわかった。すなわち、タンパク質の半分は制御型の、残り半分は緩衝型の性質を持っている。今後、カルシウム結合型と非結合型の両構造の精密化を行って、ヘリックス間のコンタクトに関与している残基を特定し、これまでに解析した他のEFハンド型タンパク質のデータと併せ、制御型および緩衝型の違いを決定している要因を明らかにする予定である。
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