1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08272213
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70182821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
|
Keywords | アラニンラセマーゼ / 断片型酵素 / ドメイン / リフォルディング / 高次構造形成 |
Research Abstract |
Bacillus stearothermophilus由来の耐熱性アラニンラセマーゼ(ホモ2量体)のサブユニットは、2つのドメインから構成され、N‐末端側ドメインは、補酵素ピリドキサール5'‐リン酸(PLP)が中心に位置するTIMバレル構造をもつコア部分からなり、C‐末端側ドメインの大部分はβ鎖からなる。限定分解の結果をもとに構築した断片型遺伝子の産物(断片型酵素)は、それぞれN‐末端側、C‐末端側ドメインに相当する2つのN‐,C‐断片からなるα2β2型4量体であり、酵素学的諸性質は野性型酵素のそれとほとんど差がない。本研究では、高次構造形成とドメイン構造の関係を明らかにするため、本断片型酵素の再構成過程を解析し、その高次構造形成機構を調べた。まず変性剤存在下で断片型酵素からN‐、C‐断片を分取した。希釈法によりN‐またはC‐断片を単独で折りたたませるか、あるいは、その系に変性状態のもう一方の断片を経時的に添加した。活性回復を示標にして断片型酵素の再構成を追跡したところ、C‐断片の活性回復能は経時的に失われていくのに対し、N‐断片の活性回復能は長時間保持されることが示された。断片型酵素の再構成はPLPに依存せず、その至的適pHは10.0付近であった。このpHにおいて単独で折りたたませたN‐断片は遠紫外部にのみCDを示すこと、また、励起波長280nmにおいて変性状態の場合と異なる蛍光極大を示すことから、このN‐断片は何らかの2次構造を有し、密な構造であるが、特定の3次構造はもたないと推論された。また吸収スペクトルからPLPの結合能はないものと推察された。単独で折りたたませたN‐断片に変性C‐断片を加えた場合には、N‐断片の3次構造形成が起こり、PLP結合能が回復することから、C‐断片はN‐断片の高次構造形成を補助する機能を持つと考えられる。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Jhee,K.‐H.: "Stereospecificity of Thermostable Ornithine 5‐Aminotransferase for the Hydrogen Transfer in the L‐ and D‐Ornithine Transamination" Biochemistry. 35巻30号. 9792‐9796 (1996)
-
[Publications] Yoshimura,T.: "Stereospecificity for the Hydrogen Transfer and Molecular Evolution of Pyridoxal Enzymes" Biosci.Biotech.Biochem.60巻2号. 181‐187 (1996)
-
[Publications] 吉村徹: "アラニンラセマーゼの分子内シャペロン" 医学のあゆみ. 178巻4号. 217‐219 (1996)