1996 Fiscal Year Annual Research Report
リゾチームのフォールディングにおける各SS結合の役割
Project/Area Number |
08272219
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橘 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (70126118)
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Keywords | 蛋白質 / リゾチーム / フォールディング / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
1.ニワトリリゾチームの1SS体の4種を用い、各SS結合に関わるCys残基の実効濃度を決定した。ネイティブ溶液条件下での実効濃度はSS3が一番高く、SS1が一番低い。蛋白質の立体構造形成とSS結合形成との共役度合を反映する、ネイテゥヴならびに変性溶液条件下での実効濃度の比は、SS1が最高で、SS4は最低であった。SS1形成蛋白の立体構造は、2次構造を持つが3次構造はない。ヒトαラクトアルブミンで報告されたようなSS2の実効濃度比の異常に高い値は、ニワトリリゾチームでは見られない。 2.SS結合形成のキネティクス解析の基礎となる、1SS体4種についてのグルタチオンとの混合ジスルフォド体、各3種、の分離・同定を、逆相液体クトマトグラフィにて実現した。SS3の結合形成は遅く、それは混合ジスルフィド体の片方が形成されにくいためである。 3.2SS体6種の酸化的再生反応において、ネイティヴSS結合2本の形成には、グリセロールの添加が有効であった。一方、ヘリックス構造を安定化するトリフルオロエタノールの添加は、却って、ネイティブSS結合の形成を阻害した。すなわち、2次構造の安定化機構と3次構造のそれは明白に異なる。 4.2SS体のうちSS1とSS2を持つものは、オ-センティックなリゾチームと同程度の2次構造・3次構造・溶菌酵素活性を有する一方、SS3とSS4を持つものは少し2次構造と、ごくわずかの3次構造・溶菌酵素活性を有するにすぎなかった。これは、どちらに相当する変異体もモルトン・グロビュールであると報告されているヒトαラクトアルブミンの場合と大きく異なり、最終構造が酷似していても、蛋白質内部での局所あるいは非局所相互作用は異なることを示す。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 橘秀樹: "逆相HPLCを用いた蛋白質SS異性体の分離" 生物物理. (印刷中). (1997)
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[Publications] Oka,T.: "Glycerol Specitically Assists the Formation of Native Disulfide Bonds in a Hem Lysozyme Two-Disulfide Dervative" The Third Work Shop on Principles of Protein Architecture. 44-44 (1996)
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[Publications] 橘秀樹: "蛋白質のmixed disulfide体の定量的な作製について" 生物物理. 36S. 134-134 (1996)
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[Publications] 岡隆史: "リゾチーム2SS体でのα-、β-ドメイン内SS結合の役割" 生物物理. 36S. 141-141 (1996)
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[Publications] 太田朋槻: "リゾチームの各SS結合のチオール・ジスルフィド平衡" 生物物理. 36S. 66-66 (1996)