1996 Fiscal Year Annual Research Report
WD-40リピートを持つ核内蛋白質N-raf p56の機能
Project/Area Number |
08274213
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 憲二 岡山大学, 医学部, 教授 (10037286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堺 明子 岡山大学, 医学部, 助手 (60205698)
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Keywords | WD-40リピート / 非マトリックスコラーゲン / 核蛋白質 |
Research Abstract |
[目的]RAF-1をめぐる信号伝達系の研究過程で抗RAF単クローン抗体を用いた免疫スクリーニングによって、WD-40リピート構造を8回含む新規な核蛋白質のcDNAを見出した。本研究はこの新しいWD-40核蛋白質の生理的機能を明らかにすることを目的とする。 [研究成果]今年度初期の段階で得られたcDNAクローンはMW55kDaのWD-40蛋白質をコードすると見られた。ところがcDNAの3′側に終止コドンが出現せず、コーディング領域はもっと大きいと予想された。そこでRACE法を併用したところ、全長4602bpのcDNAを得ることができ、うち4008bpがORFで、アミノ酸残基1336、推定分子量146kDaという大きな蛋白が全長であることが確定した。更に興味深いことに、WD-40リピート8個を含むN端側ドメインの下流に1.2kbp(400aa)に及ぶコラーゲン様配列(Gly-Pro-X)nを見出した。よりC端側にもGly,Pro,Argに富む5回の大きなリピート配列が存在する。このようにWDC-146と仮に名付けた本蛋白質はこれまで全く知られていなかったユニークな構造を持つことが判明した。本遺伝子のラット各臓器における発現を調べたところ、約5kbのmRNAが広汎な組織で弱く発現しており、特に精巣、次いで胸腺で高い発現が見られた。本遺伝子はヒトでは2q14.2〜21.1にマップされ既知の遺伝子との相同性はない。また本遺伝子のWD-40リピートのドメインのみをマウスNIH3T3細胞で発現させたところ、10-20%の細胞が多核となり、さらに培養後期に一斉にアポトーシス様の細胞死を起こすこと、細胞表面に多数の小胞構造を誘導することなど興味深い知見が得られつつある。現在本蛋白質のC端側ドメインをGST融合蛋白質として大腸菌で発現させることができたので特異的な抗体を得る努力を続けている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 清水憲二: "Rasスーパーファミリーと癌細胞の増殖" 呼吸. 15(10). 1142-1148 (1996)
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[Publications] Yoshitaka,T.: "Mutations of E2F-4 Trinucleotide Repeats in Colorectal Cancer with Microsatellite Instability." Biochem.Biophys.Res.Commun.227. 553-557 (1996)
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[Publications] 清水憲二(分担): "がん研究の最前線" 第11回「大学と科学」公開シンポジウム組織委員会編(クバプロ) (印刷中), (1997)