1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウス精母細胞におけるプロテインホスファターゼ2Cの特異的発現の意義
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08275204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所 (20124604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 孝安 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10221970)
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Keywords | プロテインホスファターゼ / 発現制御 / 精子形成 / プロモーター / 脱リン酸カスケード / 細胞内局在 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、PP2Cには6種類のアイソフォーム(α, β-1, β-2, β-3, β-4およびβ-5)が存在することを明らかにした。これからのうちαとβは異なった遺伝子産物であり、βの5種類のアイソフォームは単一のpre-mRNAからの選択的スプライシングの産物である。また,これまでの研究の結果,マウス精巣の第1減数分裂パキテン期の精母細胞において、PP2Cβ-3, -4および-5の発現が著しく上昇することが明らかになった。そこで、今回、精母細胞におけるPP2Cβ遺伝子の発現制御機構の解明を目的に、PP2CβゲノムDNAのクローンングと構造解析およびRT-PCRを用いた転写産物の解析を行った。その結果、翻訳開始点を含むエクソン(IV)の上流に3つのエクソン(I, II, III,)が存在し、新生児マウス精巣(精巣細胞のみを含む)ではIIVを含む転写産物のみが検出されたのに対し、成獣マウス精巣の転写産物では、II, III, IVエクソンの読みとりが行われた。さらに、Iエクソンの上流には構成的発現に関与すると考えられるプロモーター活性が検出された。以上の結果から、IIエクソンの上流に精巣特異的発現に関わるプロモーターが存在することが示唆され、現在その解析を進めている。 PP2Cの6種類のアイソフォームの機能の解析を目的に、HAタッグをPP2CのN末端に付加したキメラタンパク質のCOS7細胞での発現システムを確立した。抗HA抗体による免疫染色により、発現されたPP2Cの細胞内局在を調べたところ、いずれのアイソフォームも、主に細胞核い局在することが判明した。また、6種類のアイソフォームのうちPP2Cαのみが細胞内でリン酸化され、その部位がC末端領域のセリン残基であること、および、PP2Cαのリン酸化レベルが、培養中に添加したオカダ酸によって2倍に上昇することが明らかになった。以上のことから、PP2Cαを介する新規の脱リン酸カスケードの存在が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Shunsuke Kato: "Differentiation-dependent enhanced expression of protein phospatase 2Cβ in germ cells of mouse seminiferous tubules." FEBS Lett.396. 293-297 (1996)
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[Publications] Yoji Sasahara: "Okadaic acid suppresses neural differentiation-dependent expression of the neurofila-ment L gene in P19 embryonal carcinoma cells by posttranscriptional modification." J. Biol. Chem. 271. 25950-25957 (1996)
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[Publications] Takayasu Kobayshi: "Enhanced UV sensitivity of yeast cells induced by over expression of Mg^<2+>-dependent protein phoshatase α(type 2Cα)." Mutation Res.32. 213-217 (1996)
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[Publications] Motoko Ohnishi: "Localization of the Mouse protein serine/threonine phosphatase 2Cβ gene to chromosome 17E4-5." Genomica. 32. 134-136 (1996)
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[Publications] Noriko Yokoyama: "Purification and characterization of protein phosphatase 2C in rat parotid acinar cells : two forms of Mg^<2+>-activated histone phosphatase and phosphorylation by cAMP-dependent protein kinase." Arch. Biochem. Biophys.331. 1-8 (1996)
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[Publications] Masakatsu Nishikawa: "Up-regulation of protein serine/threonine phosphatase type 2C during 1α, 25-dihydroxyvitarnin D3-induced monocytic differentiation of leukemic HL-60 cells." FEBS Lett.375. 299-303 (1996)
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[Publications] Takayasu Kobayashi: "Methods in Molecular Biology" Humana Press (in press), (1997)