1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08275223
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
下田 親 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047290)
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Keywords | 分裂酵母 / 減数分裂 / スプライシング / イントロン / 有性生殖 |
Research Abstract |
分裂酵母のmesl遺伝子は減数第二分裂に必須である。そのmRNAは75ヌクレオチドのイントロンを持ち、スプライシングは減数分裂の進行に依存して起こることを報告した。このような減数分裂特異的なスプライシングの機構をmRNA分子上の特定の塩基配列(シス因子)と、イントロンに働きかける蛋白質因子(トランス因子)に分けて解析した。(1)シス因子の同定:本年度まずシス因子の同定で進展が見られた。まず、meslイントロンのコンセンサスからはずれているスプライス部位の配列に突然変異を導入し、コンセンサス配列に戻したが、スプライシングは構成的にならなかった。しかし、イントロン全体を構成的なスプライシングを受けるnda3遺伝子のイントロンに置き換えたところ、構成的なスプライシングが観察できた(下関ら、投稿準備中)。したがって、meslのスプライシングを減数分裂依存的にするpre-mRNAの配列は、スプライス部位以外のイントロン内部の塩基配列に存在する可能性が高い。(2) mealののスプライシングが起こらない突然変異株の取得:減数分裂特異的なスプライシングに必須の蛋白質因子を同定する目的で、突然変異株の単離を試み、meslのスプライシングが起こらない変異株を4株(M47, M56, M79, M97)単離できた。M56変異株は主として第二分裂に欠損を示し、M79変異株は減数第一分裂で停止する表現型を示した。他の2つの変異株も胞子形成不能であったが、表現型はリ-キ-で特定の減数分裂過程でアレストすることはなかった。これらの事実から、減数分裂変異的なスプライシングを受ける遺伝子にはmeal以外に、第一分裂に必須の遺伝子も含まれるものと結論した。現在これらの遺伝子のクローニングが進行中である。
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[Publications] Kitamura, K.: "Autocrine response of Schizosaccharomyces pombe haploid cells to mating pheromones." FEMS Microbiol. Lett.143. 41-45 (1996)
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[Publications] 下田親: "減数分裂は体細胞分裂とどう違うのか:細胞周期制御の観点から" 蛋白質・核酸・酵素. 41 (12). 1856-1862 (1996)
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[Publications] 下田親: "ネオ生物学(酵母)" 共立出版, 158 (1996)