1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂・分化過程における細胞内蛋白分解酵素の活性化と生理機能の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
08278205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎森 康文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60160389)
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Keywords | プロテオリシス / カルシウム / カルパイン / 細胞骨格 / 細胞分裂 / 細胞分化 / 大腸菌発現系 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
細胞分裂および発生・分化過程において、タンパク分解は重要な位置を占めるが、分解酵素-基質-調節機構の3者が明確に解析されている例は少ない。本研究は、広く動物界に普遍的に存在する細胞内中性プロテアーゼであるカルパインを対象に、ショウジョウバエを実験系として選び、その基質を明確に捉えながら解析することで、細胞分裂・分化過程における機能を明らかにすることを目的として、以下の解析を行った。(1)Notch、quail、singed、および、chickadeeのcDNAをRT-PCR法で得、これを大腸菌内でGST融合タンパク質として発現させ、これをグルタチオン・セファロースカラムによって精製した標品を得た。(2)既に得ているカルパイン抗体と基質タンパク質抗体を用いて、細胞免疫化学的に細胞内局在性を多重染色法によって観察した。さらに、アクチン繊維との関連を詳細に明らかにし、細胞骨格系およびNotch受容体とカルパインの組織学的関連を明らかにした。(3)ショウジョウバエのカルパインcDNAを新規の発現方法を確立することによって、活性ある形で大腸菌に発現させることに成功し、これを精製した。こうして得たショウジョウバエ・カルパインを基質と反応させて、切断活性を検討し、一部に関しては、マイクロシーケンシング法によって切断部位を決定した。これらの実験から、カルパインは、特定のアクチン結合タンパク質を特異的に、かつ、限定的に切断し、その結果、特徴ある活性を有するタンパク質機能断片を生成させることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.S.Arora,P.D.Goen,D.E.Croall,Y.Emori & G.J.Gores: "Hopatocellular carcinoma cells resist necrosis during anoxia by preventing phospholipase-meditated colpain activation" Journal of Cellular Physilogy. 167. 434-442 (1996)
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[Publications] A.S.Arora,P.D.Goer,Y.Emori & G.J.Gores: "A cascade of degradative hydrolase activity contributes to hepatocyte necrosis during anoxia" American Journal of physiology. 270. G238-G245 (1996)
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[Publications] J.R.Beyette,Y.Emori & D.L.Mylcles: "Immunological analysis of two calpain-like Ca^<2+>-depenclunt proteinases from lobster striated muscles:relationship to mammalian and Drosoplila cilpcihs" Archives of Biochemisty and Biophysics. 337(印刷中). (1997)
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[Publications] 榎森康文(分担): "ホルモンの分子生物学序説(日本比較内分泌学会編)" 学会出版センター, 137-151(217) (1996)
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[Publications] 榎森康文(分担): "発生と成長因子・ホルモン(日本比較内分泌学会編)" 学会出版センター, 41-58(163) (1996)